岩手から異色の二刀流 「酪農歌手」橘和徳、今月4日デビュー

[ 2017年10月21日 05:30 ]

今月4日に歌手としてメジャーデビューした、岩手県葛巻町の酪農家・橘和徳。普段は40頭の乳牛が暮らす牛舎で働いている
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 二刀流の日本ハム・大谷翔平(23)を生んだ岩手県から、異色の“二刀流歌手”が誕生した。同県葛巻(くずまき)町で両親と牧場を営む酪農家の橘和徳(34)。今月4日にシングル「千のありがとうを」で歌手デビュー。酪農と兼業で活動していく予定で「少しでも酪農に興味を持ってくれる方が増えたらうれしいです」と“本業”アピールのために歌う。

 デビューの4日。橘は作業着姿で普段通り早朝から牛舎にいた。掃除をして、40頭の乳牛にエサをやり、牧草やトウモロコシなどエサを収穫。プロの歌手になった実感はなかったが「僕らしくて、これでいいなと思うんですよ」と汗を流した。

 祖父が始めた牧場の3代目。両親と3人で13ヘクタールの牧場を営む。牛舎に取り付けたスピーカーで音楽を聴いたり歌ったりしながら、乳牛を世話する毎日。学生時代に吹奏楽部に所属するなど音楽好きだが、歌手になるとは考えもしなかった。

 人生を変えたのは昨年8月。猛威を振るった台風10号で、同県久慈市にある夫人の実家が床上浸水の被害に遭った。片付けを手伝っている時、テレビで流れたのがカラオケ番組の募集告知。義母に「出て歌ってよ」と言われ「家族が元気になるなら」と応募した。

 目標は「テレビに出ること」だったが、想定外に勝ち進んだ。勝負曲は大好きな清水翔太(28)のバラード「花束のかわりにメロディーを」。優しく温かい歌声を武器に、予選をとんとん拍子に勝ち上がって決勝に進出。目標を達成するばかりか、決勝にあたる昨年12月の日本テレビ「歌唱王2016」で7位となった。

 放送後に地元の芸能事務所から「歌手にならないか」と声が掛かった。「酪農をやめて歌手になるという話なら断ろうと思いました。僕は酪農が第一。それを分かってくださる方だったので、やれるだけやってみようと決めました」。デビュー曲は優しい歌声で聴かせる、大切な人への感謝をテーマにした曲だ。

 歌うのは酪農のため。葛巻町は最盛期に500軒もの酪農家があったが、現在は120軒ほど。「全国的に従事する人が減っている。歌うことで少しでも酪農のことを知ってくれる方が増えたらうれしい。酪農家という軸はずらさず、細く長く歌っていけたらいいなと思います」と力を込めている。

 ◆橘 和徳(たちばな・かずのり)1983年(昭58)6月15日、岩手県葛巻町生まれ。秋田県立大短期大学部生物生産学科畜産学専攻卒。北海道恵庭市の清水牧場で2年間修業した後、葛巻町の実家の牧場に就農。搾乳された生乳は「タカナシ乳業」で牛乳に仕上げられている。好きな歌手は押尾コータロー、秦基博など。好きな食べ物は牛肉。

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