歌詞でも“イシグロ特需”、英人気ジャズ歌手新譜に「新幹線」

[ 2017年10月7日 06:10 ]

アルバム制作に際して談笑する(左から)ステイシー・ケント、カズオ・イシグロ、ステイシーの夫でプロデューサーのジム・トムリンソン氏。写真を撮影したのはイシグロ夫人だという
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 英国人作家カズオ・イシグロ氏(62)がノーベル文学賞に決定して一夜明けた6日、世界的な“イシグロ特需”の兆しを見せている。著書への注文が殺到し、増刷が続々と決定。今月発売される英人気ジャズ歌手の新作アルバムには、日本の新幹線が題材の歌詞を提供したことも明らかになった。本人も「漫画の世界でもアイデアはいっぱいある」と、小説の枠を超えたコラボに意欲を見せている。

 受賞決定から一夜明け、イシグロ作品を日本で独占的に刊行する早川書房は、全8作品、計22万5000部の増刷を発表した。イシグロ小説は、楽天やアマゾンの売れ筋ランキングで1〜7位を独占する人気ぶりだ。

 英国でも大手書店「ウオーターストーンズ」が公式サイトのトップで特集するなど世界規模で注目が高まる。そんな中、イシグロ氏は会見で「広い世界で大勢の人と通じ合い多くを吸収しようといつも心掛けている」と、小説の枠を超える創作への意欲を強調した。

 他ジャンルでも積極的に活動する作家で、米英など4カ国が合作した映画「上海の伯爵夫人」(2005年公開)にはオリジナル脚本を提供。音楽の作詞作曲にも取り組む。

 この日は、25日発売の英人気ジャズ歌手ステイシー・ケント(49)の新アルバム「アイ・ノウ・アイ・ドリーム」に歌詞を手掛けた「ザ・チェンジング・ライツ」(13年)など2曲が収録されていることが分かった。

 新曲「バレット・トレイン(新幹線)」は“創作の原風景”と公言する日本を描いた。「名古屋、名古屋。ご乗車ありがとうございました」のアナウンスで始まり、♪車窓を流れるこの町は たった今通り過ぎた街と同じ顔…♪まるで動いていないかのよう でも動いていないわけはないの…など日本人の多くが知る車中の風景を詩的に表現した。

 発売元のソニー・ミュージックの担当者は「日本人にもなじみやすく、文学作品とはひと味違った詩的な魅力を感じられるのでないか」と解説。同社は昨年のノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン(76)の作品も手掛けており「2年連続で賞に関われるとは夢にも思いませんでした」と、今年も特需を期待する。

 イシグロ氏は今後の活動について「漫画とコラボレーションしたい」と話した。幼少時は長崎の祖父(故人)から毎月「オバケのQ太郎」などを送られていたといい、日本漫画は創作の原点の一つ。「漫画分野で活躍する人たちと(連携の)話し合いを進めている。子供時代を思い起こし興奮する」という。

 日本の大手出版社の漫画担当者からは「とても興味深い。できるならぜひ一緒にやりたい」との声も上がっており、日本のポップカルチャーとの融合も実現するかもしれない。

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