【夢中論】磯野貴理子　中国語検定２級に一発合格　広がる可能性と友達の輪

[ 2017年9月19日 11:30 ]

　タレントの磯野貴理子（５３）が中国語習得に励んでいる。４月には中国政府が認定している中国語検定「ＨＳＫ」の２級を受検。見事に一発合格した。「勉強がこんなに面白いと思わなかった」。学ぶことが若さを保つ秘訣（ひけつ）にもなっている。

　付箋だらけの中国語のテキスト。ページをめくると、中国語の漢字の横に、読み方を書いたカタカナが並んでいる。「このテキストは勉強し始めた時に使っていたものかな。頑張っていたなぁとしみじみ感じちゃう」。使い古したテキストを懐かしそうに見返した。

　中国語を勉強し始めたのは２年前。「爆買い」が話題になり、日本中に中国人観光客があふれていた時期。「どこに行っても中国人がいて、“何を買ったの”とか“どこから来たの”と話してみたいなと思ったの」。そんな時、町を散歩していて見つけたのが「中国語、教えます」の貼り紙。すぐに連絡先に電話をして、中国人女性による個人レッスンを受け始めた。

　突然始まった“五十の手習い”。周囲には驚きを持って受け止められた。「どうして中国語なのか、家族は意味が分からなかったみたい。でも“えらいね”と感心してくれましたよ」

　元々、中国語には親しみを感じていた。「日本の漢字と共通する部分が多いでしょ。２０年くらい前、テレビ番組のロケで上海に行った時、何となく聞き取ることもできる気がしたの。英語は駄目だったけど、中国語ならいけるんじゃないかって」

　その考えは甘かった。漢字だからと言って読めるわけではない。読み方を覚えても、「シュル」や「チュル」などフランス語に近いという発音に苦戦した。「とにかく難しい。でも、やめるのはもったいないし」と学び続けた。

　先生から「落ちるつもりで受けてみたら？」とすすめられたのが「ＨＳＫ」の試験。「負けず嫌いだから“落ちるつもりで”と言われたのにカチンときた。試験前の１カ月間は過去問を買って家でずっと勉強してました」。結果は、日常会話を習得しているレベルの２級に見事合格。「本当にうれしい時は“ヤッター！”なんて言わないんですね。ジワ〜とこみ上げてきて口元がニヤニヤした後、笑顔になる。あんなに喜んだのは生まれて初めてだったかもしれない」

　高校卒業後、銀行員を経て芸能界に入り、女性お笑いトリオ「チャイルズ」のメンバーとして人気を獲得。グループ解散後は女優、タレントとしてドラマや舞台、バラエティーなどで幅広く活躍してきた。騒がしいぐらいに元気なキャラクターでおなじみだったが、２０１４年１０月に脳梗塞を患った。

　「４０代までは仕事以外のことは考えられなかったけど、５０代になって少し余裕が出てきた。病気をして時間ができたことも大きいのかな。今は勉強が面白くてしようがない」

　学ぶことが若さを保つ秘訣にもなっている。「知識が増えるたびに脳みそや細胞が活性化している感じ。中国語を勉強するようになって人の輪も広がったと思う」

　少女のような笑顔で明かしたのが、中国語が堪能な俳優のディーン・フジオカ（３７）とのエピソード。バラエティー番組で初共演した際、楽屋を訪れて「初次見面（チューツジェインメィン、初めまして）」と中国語であいさつした。すると、ディーンが至近距離に顔を寄せて「チューツジェインメィン」と正しい発音を教えてくれた。

　「何でもっと長い言葉にしなかったんだろう！そしたら、もっと長くそばにいられたのにって後悔したけど、あれは幸せなひとときだった〜」

　今は会話専門の中国語学校に月３回のペースで通い、自宅でも中国語のＤＶＤなどを流して聞いている。「姪（めい）が偶然、中国に留学しているから、いつか訪ねていきたいなと思ってます。目標は一人旅。ディープな中国を歩いて、自分の中国語がどこまで通用するか試してみたい」

　行きつけの中華料理店では店員と中国語で話し、中国人の友達もできた。「全然違う国で育った人とコミュニケーションが取れるって凄い。自分がこんなことできるなんて思いもしなかった」。５３歳。新たな挑戦をきっかけに、まだまだ自分の可能性が広がっていくのを感じている。

　▽ＨＳＫ　中国語の正式な名前は「漢語水平考試」。１９９０年に始まり、日本では９９年から受検できるようになった。初歩的なコミュニケーション力を測る「１級」から、ビジネスや日常生活で支障なく意思疎通できるレベルの「６級」まで６段階に分かれる。

　◆磯野　貴理子（いその・きりこ）１９６４年（昭３９）２月１日、三重県生まれ。高校卒業後、３年間の銀行勤務を経て８７年に芸能界入り。女性お笑いトリオ「チャイルズ」としてフジテレビ「笑っていいとも！」にレギュラー出演した。０７年に「磯野貴理」と改名したが、１１年に元に戻した。血液型Ａ。