「直虎」高橋一生 政次として過ごした充実の日々「もう死んでもいい」

[ 2017年8月20日 08:00 ]

NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で井伊家の筆頭家老・小野政次を演じる高橋一生(右)。左は山口紗弥加演じる義妹・なつ
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 NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(日曜後8・00)で井伊家の筆頭家老・小野政次(まさつぐ)を好演している俳優・高橋一生(36)。主人公・井伊直虎(柴咲コウ)の幼なじみでもある政次を魅力的に演じ切り、クランクアップを迎えた。“完走”直後に行われたインタビューでは、政次の生き様に心の底からほれ込んでいたと告白。撮影中に「もう死んでもいい」と感じるほど、役者として充実の日々を送ったことを明かした。

 クランクインから約10カ月。“長旅”を終えた高橋は「以前にも大河ドラマに出演させていただいたことはあったのですが、まったく違った感慨深さがありますね。クランクアップした日にお風呂に入っていたら“そういえば終わったんだな”という寂しさがこみ上げてきて、なんだか政次のことをずっと考えていましたね」としみじみ語る。

 今川家と通じ、井伊家の人々から裏切り者扱いされてきた政次。幼少期をともに過ごした直虎とも対立した。しかし、第18話「あるいは裏切りという名の鶴」(5月7日放送)でその“真意”が判明。味方をも欺き、ひとり矢面に立って井伊家を守っていたのだった。高橋は、感情を表に出さず“嫌われ役”を貫く政次の生き方に心酔していたという。

 「美しい生き方ですよね。こう定義してしまうのは語弊があるかもしれませんが、近くにいる人ですら何を考えているのか分からない寡黙な人間が僕は好きですね。雄弁ではなく、沈黙を選ぶ男は美しいと思います」

 史実上は井伊を裏切り、乗っ取ろうとした人物として伝えられてきた政次。しかし、脚本家・森下佳子氏が描いた魅力的なキャラクターと、存在感際立つ高橋の好演によって新たなイメージを確立としたと言える。高橋は「森下さんの脚本の力だと思います。僕は脚本に沿ってお芝居をさせてもらっているだけです」と話し、自身の演技への向き合い方についてこう語る。

「お芝居をさせてもらっている時は、変な解釈や自分の個性は出すべきではないといつも思っています。突飛なことをしようとすると、それはただの突飛になってしまう。あくまで自分は超標準的なお芝居をさせてもらっています。表立った動きはあまり見せないように演じていますね」。

 政次の人物像、そして森下氏の脚本にほれ込んだ今作。撮影中に「俳優として今が最高」「もう死んでもいいな」と感じる瞬間が何度もあったという。

 その一つとして挙げるのが第11話「さらば愛しき人よ」(3月19日放送)でのワンシーン。井伊谷の井戸で、政次、次郎法師(→井伊直虎)、井伊直親(三浦春馬)の幼なじみ3人が最後に揃った場面だ。

 「3人がすれ違いを経てまた戻ってきた様子がはっきりと描かれていたんです。森下さんの世界観を邪魔しないように演じようと考えていたのですが、実際にお芝居をさせてもらうと、そんなことは考えずにただただ幸福な時間を過ごすことができました。僕としてではなく、政次として。“このままずっと政次を演じることができればいいのに”と思いましたね。俳優をやっていてよかったと感じる瞬間でした」と万感の表情で振り返った。

 20日に放送される第33話「嫌われ政次の一生」。今川に加勢すると見せかけ、密かに徳川と結んでいた井伊家だが、近藤康用(橋本じゅん)の罠によって直虎と政次は窮地に追い込まれる。

 「タイトルを見たとき、最後までこの人は“嫌われ政次”でいることを貫いたんだと思いました」と語る高橋。井伊家を、そして直虎を守るために政次が選んだ道とは――。

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