クドカン「ゆとりですがなにか」幅広い年齢層に支持される理由

[ 2017年7月2日 08:00 ]

「ゆとりですがなにか」が帰ってきた!スペシャルに出演する(左から)岡田将生、柳楽優弥、松坂桃李(C)日本テレビ
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 日本テレビの人気ドラマ「ゆとりですがなにか」スペシャル(SP)「純米吟醸純情編」(日曜後10・30)が7月2日、9日に2週連続で放送される。2016年に人気脚本家・宮藤官九郎(46)が手掛け、ギャラクシー賞や東京ドラマアウォードなど数々のドラマ賞を受賞した社会コメディードラマが約1年ぶりに復活。放送前から大きな注目を集めている。ゆとり世代の若者だけでなく、幅広い年齢層の視聴者からドラマが支持された理由について、同局の枝見洋子プロデューサーへの取材を通じて紐解いた。

 宮藤が社会ドラマに初挑戦したオリジナル作品。主演の岡田将生(27)、松坂桃李(28)、柳楽優弥(27)が豪華共演。87年生まれの「ゆとり第1世代」が競争社会の中で戸惑いながらも、必死に毎日と向き合っていく姿が描かれた。SPでは連続ドラマから1年後の世界が舞台となる。

◆強烈キャラの登場人物、視聴者をヒリヒリさせるセリフが秀逸

 強烈な個性を持つ登場人物と宮藤の見事なシナリオが作品の魅力。岡田は「ゆとり第1世代」のサラリーマンで、仕事や人間関係に苦悩する主人公を熱演。松坂は児童になめられつつも好かれる小学校教師、柳楽は東大合格を目指して11浪中の客引きを演じた。ほかにも「飲み会?それって強制すか?」と暴言を吐き、会社をパワハラで訴える“ゆとりモンスター”や“レンタルおじさん”が登場。時代を切り取ったキャラクターが人気を集めた。

 宮藤得意の手法や演出を封印した挑戦作は劇中のセリフも秀逸。客引きに扮する柳楽の「おっぱいいかがですかー!」という呼び込みや、太賀(24)が演じたゆとりモンスターの「メール見ないんで次からLINEでお願いしま〜す」という超マイペース発言などインパクトが強烈だった。枝見プロデューサーは「宮藤さんが書いたセリフはどれも印象的でした。以前、渋谷を歩いていたらドラマのセリフを叫んでいる若者がいて。世の中に広がっている、時代の中に刻まれたと感じた瞬間でした」と語る。SPでも主人公・坂間正和(岡田)と山路(松坂)が口論する場面で「(正和の妻)茜ちゃんにとって坂間家は家族じゃなくて社会なんだよ」「一度も社会に出たことない奴に言われたくないよ!」「前から思ってたんだよ、学校の先生ってさあ、社会人て言えんのかなあって!」と過激な言葉が飛び交いヒリヒリさせる。

◆岡田、松坂、柳楽ら出演者の凄まじい熱量 「続編書いてください」直談判

 出演者の熱量も画面から伝わってくる。個性的な登場人物を生き生きと演じた岡田、松坂、柳楽は撮影で意気投合し、プライベートでも旅行へ出掛ける仲に。現場では女優の安藤サクラ(31)ら実年齢が近いキャストが集結。楽しくも緊張感のある雰囲気が出来上がったという。「連ドラが終わった時に、出演者が皆“またやりたい!”と盛り上がりました。打ち上げの時には岡田さんや松坂さんが、宮藤さんに“ドラマの続き書いてください”と直談判。打ち上げ最後に宮藤さんが“書きます!”とおっしゃっていました」と枝見プロデューサーはキャストの熱意が“続編”につながったと明かす。

◆“ゆとり世代の気持ち知りたい”視聴者がドラマ通じて疑似体験

 作品はゆとり世代だけでなく、幅広い年齢層の視聴者を魅了した。宮藤は連続ドラマ放送中にインタビューに応じ、『ゆとり』を題材にした理由について「最近、若い世代の人たちと接したときに違和感を持ったことがありました。彼らと仲良くなりたくて飲み会に誘ったのに迷惑そうな顔をされた。飲みに行って会話がかみ合わないときに自分がどんどん年寄りになっている気がして…。よく分からない『怖っ』という感覚。そのとき、彼らのことを少しでも理解しようと思ったときに便利だったのが『ゆとり』という言葉でした。“ゆとり教育って何だろう”と思って調べて、自分なりのフィルターを通して伝えたかった」とコメントした。筆者も昭和55年生まれで『ゆとり』より年上の世代。職場、飲みの場、ママ友パパ友づきあい、近所づきあいなど様々な機会でゆとり世代と接する。価値観の違いやSNSの“こなれた”使い方などに衝撃を受けるときが多々あるが、“ゆとり世代の気持ちを知りたい”という思いは常々抱いている。ドラマを通じて『ゆとり』を疑似体験したかったのだと思う。

 宮藤はインタビューで「『ゆとり』ってネガティブな印象ばかりですが、ゆとり世代の人に話を聞いたり調べたりしたら、良いところもあるじゃないかと思った。ドラマはゆとり世代から入っていますが、その世代より下もひどいし、上もひどいですよと。大人だと思っていた人たちが大人じゃなかった。世代に関係なく、人にはマイナスな面がありますよという話です」と語る。枝見プロデューサーは「私はゆとり世代とは違う価値観を持っていますが、彼らも一生懸命に生きていて、私たちがとやかく言う権利はないなと思いました。それぞれの世代には、その時代における社会のムードがある。皆それぞれ、そのときのムードや置かれた環境で一生懸命頑張っているのはないでしょうか」と持論を展開。制作陣の鋭い着眼点で描かれた「ゆとりですがなにか」。世代を超えて支持される魅力が詰まっている。

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