「LinQ」リーダーなつ 不屈の車いすパフォ…聖地で誓った完全復活

[ 2017年5月31日 12:31 ]

松葉杖姿の天野なつ(右)と吉川千愛は福岡市赤煉瓦文化館を背にポーズする
Photo By スポニチ

 リーダーの重責を果たし、リハビリ休養へ。九州、福岡を拠点とするアイドルグループ「LinQ(リンク)」の再開発プロジェクト公演が27日に東京・中野サンプラザで幕を閉じた。4月下旬のレッスン中に右膝前十字じん帯を断裂し、全治6カ月の診断を受けたリーダーの天野なつ(23)は車いすで登場し、7曲でステージに立った。天野は6月7日に手術を受け、今秋以降のステージ復帰を目指して、当面はリハビリに専念する。(東山 貴実)

 昨年12月に解体・再開発プロジェクトが発表されてから5カ月間。この日のために猛練習に明け暮れ、汗と涙を流してきた。だから、天野は車いすでもステージに登壇した。

 「自分のできる限りのパフォーマンスはしようと…。気圧の影響で東京行きの飛行機の中では痛みが出て、ずっと足をさすっていたんですけど、ステージ上ではアドレナリンで不思議と痛みは感じなかった。私が出てきただけでうれしそうな顔をしてくれるファンも居て、救われたというか、今まで以上に応援が身に染みました」

 天野をアクシデントが襲ったのは4月28日のダンスレッスン中。「ブチッって音がした。少しヤバいかもとは思ったけど、まさかそこまでひどいとは思わなかった」。病院に直行。稽古場に戻ってきた時、右足はギプスで固定されていた。後日、精密検査の結果、下された診断は「右膝前十字じん帯断裂で全治6カ月」の重傷。医師からは「今後も踊り続けたいのなら手術が必要」と宣告された。さらに、以前から左膝半月板も損傷していることも同時に判明した。

 「よりによって、この時期に…。現メンバーの21人で最後になるかもしれないライブを前に、最初は相当へこみました」

 それでも、リーダーとして、ライブ出演を断念するという選択肢はなかった。懸命のリハビリが始まった。病院では電気治療を受ける一方でスクワットを20回。自宅では右膝の下に枕を置いて、その枕を押しつぶすように負荷をかける運動を1日50セット。その結果、最初は20度ぐらいしか曲がらなかった膝も、踵(かかと)近くにつくぐらいに。先週にはギプスも外れた。

 そして5月27日。「アイドルの聖地」と呼ばれる中野サンプラザで、ぎこちないながらも車いすから立ち上がり、上半身だけの振り付けを必死にこなす天野の姿があった。「ついつい自然と足でリズムを取っちゃって…。お医者さんに怒られますね」と笑った。

 「荷物を持っていると、誰かが必ず“私が持つよ”と言ってくれたり、ケガをして改めてメンバーの愛を感じました」と天野。近日中には再開発プロジェクト公演の成否が発表され、LinQは新たに生まれ変わる。それでも、「今までは変に仲良しというか、友達みたいなグループだったけど、このプロジェクトをきっかけに、年下でも年上のメンバーに意見や指摘ができるグループに変わった。だから、どんな形になるにせよ、LinQは“もっとできる”と思う」と胸を張った。

 天野は今後、6月7日に手術。約3週間の入院生活を経て、本格的なリハビリに入る。完全復帰までは事実上、長期休養となるが、「どうにかしてファンに会える機会を考えています」。その笑顔に、その歌声に、そのダンスに、一日も早く再会できることをファンは心から願っている。

 ≪LinQ解体・再開発プロジェクト≫ 全国で戦えるアイドルグループを目指し、現行メンバーでの活動は6月までとし、以降は「LinQ」「新グループ」「ミュージカル集団」の3団体に振り分ける総称「IQ(アイドル九州)プロジェクト」を発足して全国展開する。同プロジェクト推進の条件として、5月5日の福岡市民会館、5月27日の東京・中野サンプラザの2公演で8割以上の集客数、さらに同公演でのパフォーマンスなどを総合的に判断。2公演で成功を見なかった場合は、LinQの再編成のみにとどまり、新生LinQの選考から漏れたメンバーは引退も含め、自らの道を模索することになる。

続きを表示

この記事のフォト

2017年5月31日のニュース