なにを見てたんだか

[ 2017年1月5日 10:00 ]

14歳vs76歳。夢の対決は藤井聡太四段(左)の勝利
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 【我満晴朗のこう見ても新人類】ウワサの史上最年少プロ棋士・藤井聡太四段(14)のデビュー戦(2016年12月24日=竜王戦ランキング戦)を東京・渋谷区の将棋会館で取材中、あることに気がついた。

 当日は有料ネット中継もあったので、同じ思いを抱いたファンは多いと思う。そう、藤井四段、やたらと小刻みに体を動かすのが癖のようだ。具体的に言うと、上半身を前後に揺らす。長距離ランナーにたとえるとストライドというよりピッチ走法。加えて盤面をのぞき込む姿勢が深い。そのままの位置で数秒間フリーズすることもしばしばなので、盤面モニターの肝心なところがよく見えない。

 ちなみに相手の加藤一二三(ひふみ)九段(76)も時に鋭角な前傾角度を採ることで知られている。二人同時に盤面をのぞき込むと緊張感が走る。控室では「頭同士、ぶつかってしまうのでは?」という声も上がっていたほどだ。

 そのうちに奇妙なものを発見した。藤井四段の手元には赤い長方形の箱がある。あれは何だ?筆箱か?すると突然、その箱を開けて将棋の駒とほぼ同じ大きさの銀色の物体を取り出す。その物体の皮を丁寧にめくり始め、中から現れた茶色の固形物をポンと口に放り込んだ。なあんだ。チョコレートじゃないかい。

 よく見たらチョコの横にはさらなるお菓子がある。こちらはグミだ。いいねえ。さすが中学2年生。年齢なりにスイーツ好きなんだ。こんな感じで観察を継続していくと(1)上体を前後に揺らす(2)盤面をのぞき込んで停止(3)体を戻してペットボトルのお茶をぐい飲み(4)チョコの銀紙をむいてパクリ(またはグミをペロリ)(5)再び上体を揺らす――といったローテーションが判明した。

 なるほど、これが天才棋士のルーティンなのか。筆者も原稿を書く際に参考にしてみよう。

 勝利後のインタビューでは将棋界のレジェンドを前にして終始緊張していた。それでも四段昇格を決めた9月3日の蚊の鳴くような記者会見に比べたら、コメントの「ハキハキ度」は確実に高くなっていた。約4カ月を経過してプロとしての自覚が増してきたのだろう。

 「まだまだこれからが険しいと思う。気を引き締めたい」

 62歳差の対決を制した21世紀少年、今後もチョコだのグミなどほおばりながら大先輩たちを慌てさせる好手を指してほしい。(専門委員)

 ◆我満 晴朗(がまん・はるお)1962年、東京都生まれ。ジョン・ボンジョビと同い年。64年東京五輪は全く記憶にない。スポニチでは運動部などで夏冬の五輪競技を中心に広く浅く取材し、現在は文化社会部でレジャー面などを担当。たまに将棋の王将戦にも出没し「何の専門ですか?」と尋ねられて答えに窮する。愛車はジオス・コンパクトプロとピナレロ・クアトロ。

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