三浦九段、不正の証拠なし 将棋ソフト疑惑で第三者委 出場停止「やむを得ず」

[ 2016年12月26日 21:56 ]

 将棋棋士の三浦弘行九段(42)が対局中にコンピューターソフトを不正に使用した疑惑が指摘された問題で、日本将棋連盟が設けた第三者の調査委員会(委員長・但木敬一元検事総長)は26日、「不正行為をしたと認める証拠はない」とする報告書を発表した。連盟の出場停止処分については「非常事態でやむを得なかった」と判断した。

 連盟は三浦九段の名誉回復や補償問題への対応を迫られるとともに、ソフトの実力が向上する中で、不正を疑われないよう一層の対策が求められそうだ。

 報告書によると、三浦九段から提出を受けたスマートフォンなどを解析したが、ソフトを利用する不正をうかがわせる痕跡は確認されなかった。指摘されたソフトの指し手との一致率にはばらつきがあり「不正の根拠にすることはできない」と結論付けた。

 処分の妥当性に関しては、三浦九段が出場予定だった竜王戦の開幕を数日後に控えても「疑惑が解消されない非常事態」だったとした。

 記者会見した但木委員長は「連盟は三浦九段を正当に遇し、一刻も早く将棋界を正常化されるよう要望する」と話した。

 疑惑を否定していた三浦九段は、「第三者調査委員会の会見の内容を踏まえて、あした(27日)記者会見を行うので、そこでお話ししたい」とコメントした。

 連盟の谷川浩司会長は「第三者調査委員会には綿密な調査をしていただいた。あした理事会を開き、連盟の方針を決定します」とコメント。27日に記者会見することを明らかにした。

 三浦九段を巡っては他の棋士から、対局中に不自然な離席が目立ち、スマートフォンなどでソフトを不正使用しているのではないか、と夏ごろから疑問の声が出ていた。

 連盟によると、10月11日に事情を聴いたところ、三浦九段は離席について「別室で体を休めていた」と不正を否定し「疑いを持たれたまま対局できない。休場したい」と申し出た。だが、期限までに休場届が出されず、連盟は12日、今年末までの出場停止処分とした。

 三浦九段は、棋聖のタイトルを1期獲得したトップ棋士の一人。10月15日に始まった竜王戦7番勝負で渡辺明竜王への挑戦者に決まっていたが、対局者が直前に変更される異例の事態となった。

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2016年12月26日のニュース