売り切れ続出 週刊少年ジャンプの新境地「約束のネバーランド」が話題

[ 2016年12月20日 09:30 ]

「約束のネバーランド」(C)白井カイウ・出水ぽすか/集英社
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 週刊少年ジャンプで8月から連載中の「約束のネバーランド」が話題になっている。今月2日に発売された1巻は売り切れ店が続出、大手通販サイト「amazon」も20日午前0時現在で「在庫切れ」と表示されている。

 これまでのジャンプにない珍しい作品だ。主人公は、とある孤児院の子どもたち。幸せな毎日を送っていたある日、孤児院の背後に恐ろしい世界があると知り、脱出を企てる。単行本の帯には「衝撃の脱獄ファンタジー」と書かれている。

 孤児院の背後にある世界の謎、子どもたちが脱出のために駆使する知略や“敵”との心理戦の緊迫感にグイグイ引き込まれる。

 過去の名作漫画に例えれば「漂流教室」と「デスノート」とを合わせたような漫画といえばいいのだろうか?平和な日常が突然崩れ、自分たちを取り巻く新たな世界の恐怖を描くところは「漂流教室」に似ている。「デスノート」のように、現実世界ではありえない心理戦を楽しめる。

 原作の白井カイウ氏、作画の出水ぽすか氏ともにジャンプ本誌は初登場。白井氏は昨年から読み切り2作をアプリ版の「少年ジャンプ+」で発表して、今作が連載デビュー作。出水氏は人気のイラストレーターだが、これまで「コロコロコミック」などで漫画家としても活躍してきた。アニメのようにキレイな絵や構図だけでも見ていて楽しい。

 担当編集者は「週刊少年ジャンプの新境地を切り開くべく、今後も攻めの姿勢で参ります」と意気込んでいる。

 漫画好きで知られるお笑いタレントのケンドーコバヤシは、MCを務める「漫道コバヤシ」(CSフジテレビONE)の17日放送分で「漫画大賞2016 期待の新連載賞」に選出。「これまでのジャンプにはない独特の設定とストーリー!ジャンプからは2年前に“ヒーローアカデミア”が受賞しているので、それに続く看板漫画になってほしい」とコメントしている。

 ヒーローアカデミアとはジャンプで連載中の「僕のヒーローアカデミア」で、連載開始当初の2014年にグランプリに選出。その後、ジャンプの次期看板候補と期待される作品に成長しており、ケンコバの高い期待がうかがわれる。

 ジャンプはここ2〜3年で「こち亀」だけでなく、「NARUTO」「BLEACH」「トリコ」など長期連載作品が相次いで完結。最終章に突入した「銀魂」が終われば、連載5年以上の作品は「ONE PIECE」だけになる(休載中の「HUNTER×HUNTER」を除く)。若返りが急速に進んでいるが、そうして何度も黄金期を作ってきたのがジャンプという雑誌でもある。

 「ネバーランド」がジャンプに吹き込む風と、漫画界に与える影響にも注目したい。

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