ロマンポルノ復活祭!

[ 2016年12月17日 11:00 ]

日活ロマンポルノ誕生45周年記念イベントに集まった(右から)芹那すみれ、間宮夕貴、井端珠里、白川和子、風祭ゆき、冨手麻妙、飛鳥凛
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】1970年代の終わりから80年代の初めにかけて、筆者は大学の映画サークルに籍を置いていた。時の話題作、国内外の難解な作品だけでなく、日活ロマンポルノや東映ポルノ、ピンク映画なども新宿の二番館でずいぶん見たものだ。

 神代辰巳監督の「四畳半襖の裏張り」(73年)「赫い髪の女」(79年)「嗚呼!おんなたち 猥歌」(81年)や田中登監督の「(秘)色情めす市場」(74年)「実録 阿部定」(75年)など今見ても色あせていない名作が多かった。

 ロマンポルノが誕生したのは71年。白川和子主演の「団地妻 昼下がりの情事」(監督西村昭五郎)と小川節子主演の「色暦 大奥秘話」(監督林功)が先陣を切り、17年の歴史を誇った。スポニチに入社し、映画担当になったのは87年だったと記憶している。その頃にはまだ忘年会や懇親会などに女優さんたちも普通に参加していた。アダルトビデオが勢いを持ち始めてきたご時世だったが、振り返っても甘美な思い出だ。

 ロマンポルノは今年11月20日で生誕45周年を迎えた。NHK・BSプレミアムの歴史教養ドキュメンタリー番組「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」も取り上げ、11月16日に「ロマンポルノという闘い 日活・どん底からの挑戦」と題して放送。日活退社後、長谷川和彦監督の「太陽を盗んだ男」(79年)や相米慎二監督の「セーラー服と機関銃」(81年)などを手掛け、現在は故郷鹿児島で暮らすプロデューサー、伊地智啓さん(80)ら懐かしい顔も登場。しばし感慨にふけった。

 45年の節目に新しい動きも見られる。その名も「ロマンポルノ・リブート(再起動)・プロジェクト」で、新作製作とクラシック作品の活性化などが狙い。行定勲(48)、塩田明彦(55)、白石和彌(42)、園子温(54)、そして中田秀夫(55)と、当代を代表する5人の俊英が新作に挑み、行定監督の第1弾「ジムノペティに乱れる」の上映が11月26日にスタート。総じて淡泊になったと言われる男性諸氏に代わって、女性客の姿が目立つのは時代を映していて面白い。

 競作が評判を呼べば、後に続く有能な若手監督の出現につながる可能性も出てくる。むろん女優開拓の場にもなるだろうし、かつて裸と無縁だった女優や歌手が出演して話題になったケースがあったように、「えっ、あの人が?」と腰を抜かしてしまうほどの人が挑むことも十分にあり得る。助平心がまだ枯れていない筆者も期待したい。

 それにしても白川和子、田中真理、風祭ゆき、宮下順子、片桐夕子、泉じゅん…と、スクリーンを彩った女優たちの覚悟と艶技には今さらながら拍手を贈りたい。中には出演した過去を消したがっている人もいるが、何も隠す必要はないじゃありませんか。彼女たちは確かに時代に潤いを与えた女神だった。(編集委員)

 ◆佐藤 雅昭(さとう・まさあき)北海道生まれ。1983年スポニチ入社。長く映画を担当。

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2016年12月17日のニュース