有働アナ「真田丸」語りを振り返る 重責に感謝「あと50回やりたい」

[ 2016年12月15日 08:00 ]

真田丸特別連載(4)「語部」最終回まであと3日

有働由美子アナウンサー
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 【有働由美子アナウンサーインタビュー(上)】NHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)は18日、最終回を迎える。ナレーションを務めた同局・有働由美子アナウンサー(47)が1年間を振り返った。「あとさらに50回分くらい語りたい気持ちです」と名残惜しい思いを吐露。序盤の「上田編」の後、低く冷静な“天の声”のような語りを確立。視聴者の“ダメ出し”に傷ついたことを明かす一方、その重責に感謝した。

 −大河ドラマのナレーションは自身初。11月24日に最終回のナレーション録りを終え、1年間を完走した率直な心境を教えてください。

 「1年間の語りが終わって、寂しい気持ちばかり募っています。スタートした当初は、自分の語りに納得できなくて、どうしていいか分からなくて苦しんで、その時期には、まだ3回しか終わっていない、まだ47回かぁと、うまくできない自分に気が遠くなるな感覚でしたが、今となってはアッという間で、あとさらに50回分くらい語りたい気持ちです」

 −「真田丸」のナレーション収録は、どのように行っていましたか?

 「2週に1度、水曜日、2本分の本ナレーションを収録し、さらに、仮ナレーションを2本、これは映像はまだできていないですが、語りの分の音だけを収録するものです。当初は台本1冊分を2時間以上かけて収録していました。試行錯誤で迷いに迷っている私の心が、声や語り口に表れてしまっていたのだと思います。一文読むたびに、監督やプロデューサーが収録スタジオに駆け込んできました(笑い)。2週に1度の水曜日は、その前の週末から緊張してしまって、何度、自分で読みこんでも不安で、台本をかばんに入れて持ち歩いていました。前夜は声が出なくなるから早く寝ようと思うのに、なかなか寝付けなくて。不安で不安で仕方なかったんです」

 −チーフ演出の木村隆史シニア・ディレクターからの要望は「主人公・真田信繁の名を読む時だけは、好きな人を思い浮かべてください」の一点だけだったといいます。有働アナとしては、どのような思いで「真田丸」のナレーションに臨まれましたか?1年間のうちに変化はありましたか?

 「初回は、その思いが強く出過ぎて、初恋の君に告白する時にうわずっちゃう、みたいな感じになってしまって、いまだに聞くと恥ずかしくて、自分の頭をバカバカ殴ってしまいます。本当に録り直させてほしい。その後、真田の家を見守る大地の母のような気持ちという提案を頂き、そのスタンスで語っていました。その声のトーンや語りのスタンスが変わった瞬間があって、信繁の最初の妻・梅ちゃん(黒木華)が亡くなった時なんですが、“信繁の大切な人が亡くなった”ことを母の目線で伝えようとしたら、つらすぎて声が震えて、逆に突き放したような天の声のようになったんです。そこから、今の低く冷静な声になっていきました。でも、その中にも私なりの、真田家への愛情や、徳川この野郎!とか、豊臣幹部イライラする!とか、そんなニュアンスは入れています」

 −3月10日放送の「あさイチ」で「(真田丸の)第1話放送後に電車に乗っていたら、高齢の男性から声を掛けられて『真田丸、君の軽いな』」とダメ出しされたことを明かされていました。それ以降、ナレーションへの取り組み方が変わった点はありましたか?

 「『真田丸、君の軽いな』には、大変傷つきました。2カ月くらい立ち直れませんでした。油断するとその言葉を思い出して、不安になって。でも、それと同時に、その方にとっての大河ドラマが大切であればあるほど期待があるのだから、そんな方たちを納得させる語りをしないといけないんだと、身が引き締まりました。それが他にない、大河の語りの重み、なんですよね。今は、そんな重責を背負わせてくれた『真田丸』に感謝しています」

 =インタビュー(下)に続く=

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