麒麟・川島「IPPON」再挑戦!昔は高く嫌だった声 不惑へ「仕事選ばず」

[ 2016年11月19日 08:00 ]

「IPPONグランプリ」に出場する麒麟の川島明

 お笑いコンビ「麒麟」の川島明(37)が年2回の大喜利の祭典、フジテレビ「IPPONグランプリ」(19日後9・00)に2回連続出場する。「IPPONスカウト」枠を勝ち上がった初出場の前回(6月11日放送)は8ポイント(一本獲得数)と健闘。芸人になる前から生粋の大喜利好きで“魅惑の低音ボイス”を武器に悲願の初優勝を狙う。笑いを生み出す特徴ある声は意外や、以前はコンプレックスだった。

◆今回は「もっと文字数を減らそう」手数を増やす作戦

 「お台場笑おう会」から本戦の招待状が届いた。第16回大会となる今回、IPPONグランプリからオファーがなかった場合、東京・渋谷のヨシモト∞ホールで行われる「女芸人大祭りvol.5~ナニワの女芸人がシブヤに夜討ちをかけてネタやるで~」のMCの仕事が入っているとマネジャーに言われた。「もちろん『女芸人大祭り』のMCも立派な仕事ですが、それはちょっと待ってくれよと」と笑いを誘いながら「何としてもIPPONに出たかったので、喜びも倍増でした」と振り返った。

 「本番中は他の人の回答を見る余裕はない」が、前回大会のDVD(今月16日発売)の特典映像で副音声を担当し、各人の答えを冷静に振り返る機会に恵まれた。「例えばバカリズムさんや(サンドウィッチマンの)伊達(みきお)さんはシンプルでおもしろい。それに比べ、自分の答えは全体的に長すぎました。詰め込みすぎているなぁと気付いたんです。気負っているなぁと思いました」と課題を発見。今回は「もっと文字数を減らそうと。短い文でポンと行く方がええかな」と手数を多くする作戦で、Bブロック(ネプチューン・堀内健、ロッチ・中岡創一、オードリー・若林正恭、とろサーモン・久保田和靖)の激戦に挑んだ。

◆大喜利の原点は「一人ごっつ」ネジ800個締めながら

 大喜利には芸人になる前から親しんでいた。NSC(吉本総合芸能学院)入学などのため、アルバイトをしていた17~18歳の頃。ダウンタウンの松本人志(53)1人によるフジテレビの大喜利番組「一人ごっつ」(1996~97年)にクギ付けになった。「1日8時間800個、ネジを締めるだけの工場でアルバイトをしていたんですが、当時『一人ごっつ』は京都で深夜に放送していて、お題だけ覚えて、ネジを締める作業の間、ずっと答えを考えて、家に帰って松本さんの答えを見ていました」。川島にとって大喜利の原点は松本だった。

 その松本が大会チェアマンを務める「IPPONグランプリ」。“最高速度を競うような大会”と魅力を表現した。「自分は何キロの球を投げられるのか。そのことに特化しているストイックさがおもしろいと思います。いい意味でも悪い意味でも、残酷なほど自分の球速、今の実力が分かる」と捉えた。

 番組コンセプトは“大喜利パーティー”。楽しむのが大前提だが、同時に真剣勝負の場。川島の“魅惑の低音ボイス”も武器になる。今回、Bブロックのお題の1つは「大林素子がセクシー女優に。デビュー作のタイトルを教えてください」。ロバートの秋山竜次(38)に「川島さんの声やったら、何を言っても、普通のことを言っても、一本ですよね」と言われたほど。自身も「声もひっくるめて答え」と強みだと自覚している。

 小学生の頃、声は高かった。「電話に出ても『お嬢ちゃん、お母さんいる?』と言われたり。音楽の授業で歌う時、めっちゃ笑われるみたいな」とは驚き。「それが嫌で早く声変わりしろ、声変わりしろと思っていたら、中学の終わりぐらいに、いきなりこの(低い)声やから」。しかし、今度は低い声がコンプレックスになった。芸人になった当初、漫才のネタ時間は1~2分。テンポよくしゃべる必要もあり、高い声を出していた。

 「2年目とかじゃないですかね。いかに早口で、どれだけボケられるかというオーディションがあって。そういう時、低い声で言うのはなかなか勇気がいるんですが、1個のボケはめっちゃ低い声でやってみたんです。それが、めっちゃウケて。それを見ていた(構成)作家さんに『自分、ええ声やから、もっと低い声でやったら』と言われて」。そこから意識して低い声で漫才をするようになり「お客さんに覚えていただける、名刺代わりになりました。低い声ばかり出すから、年々、地声が低くなって。昔の自分たち漫才を動画で見ても、まだ高いと思っちゃうぐらいです」。引け目を感じていた声が味方になった。

◆仕事選り好みせず「40で脂の乗った芸人になりたい」

 今後については「今は仕事選ばずの感じなので、40(歳)までは何も断らんと全部、全力でやろうと。先輩方も40で情報番組のMCをしたとか、映画を撮ったとか、40に転機があるんじゃないかと思っています。40で脂の乗った芸人になりたいというイメージなので、先のことより、今は今で頑張りたいです」と展望する。お笑いの仕事以外にも、NHKラジオ第1の4時間生ワイド「すっぴん!」(月~金曜前8・05)の木曜パーソナリティー、フジテレビ「直撃LIVE グッディ!」(月~金曜後1・45)木曜コメンテーター、カンテレ「競馬BEAT」(日曜後3・00)のメーンキャスターなど、多忙を極めるが「(多種多様な仕事を)全部やらないと、自分の得意・不得意は分からないと思います。得意なことじゃないと、芸人の猛者には勝てないですから」。まずは3年後の不惑の年へ、漫才を軸に、がむしゃらに突っ走る。

 「前回は結構、自信があったので、負けて悔しかった。今回はもっと頑張らなアカン」と2回連続のIPPONグランプリ出場が決まった後、趣味の御朱印集めを兼ね、伊勢神宮を訪問。必勝祈願を行うほど気合が入った。芸人になる前から鍛えた大喜利センスと持ち前の声を売りに、頂点を目指して全力でペンを走らす。

 【第16回IPPONグランプリ出場者】<Aブロック>バカリズム(40)永野(42)千原兄弟・千原ジュニア(42)ふかわりょう(42)ロバート・秋山竜次(38)<Bブロック>ネプチューン・堀内健(46)ロッチ・中岡創一(33)オードリー・若林正恭(38)とろサーモン・久保田和靖(37)麒麟・川島明(37)

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