つま恋さらば!フォークの聖地12・25営業終了 施設老朽化で…

[ 2016年9月3日 05:30 ]

75年8月の伝説のライブ。7万人が集まった

 1975年に行われた伝説の「つま恋ライブ」の会場で、フォークソングの聖地として知られる静岡県掛川市の「ヤマハリゾートつま恋」の営業が12月25日で終了することになった。施設を運営するホテルの親会社、ヤマハが2日、発表した。

 ヤマハリゾートつま恋はゴルフ場や結婚式場を備えた大型ホテルで、74年に開業。施設の老朽化により修繕費がかさむなどし、赤字経営が続いていた。

 75年のつま恋ライブは、吉田拓郎(70)と、南こうせつ(67)が率いる「かぐや姫」による日本初の野外オールナイトライブ。当時としては破格の規模だった7万人(警察発表)を動員。地平線まで広がる聴衆の「ウォーッ!」という大歓声が会場に響く中、拓郎の「朝までやるよ!」のあいさつで開幕。拓郎が59曲、かぐや姫が26曲を熱唱。ゲストも含め一晩で計109曲が歌われた。拓郎が夜明けの下、ラストの「人間なんて」を歌った際は数十分間にわたって大群衆が泣きながら叫ぶ大合唱になり、日本のフォーク史に残るシーンとして語り継がれている。

 74~86年には音楽イベント「ヤマハポピュラーソングコンテスト」、通称「ポプコン」の会場として使われた。中島みゆき(64)、八神純子(58)、チャゲ&飛鳥(当時)、世良公則&ツイストらが同コンテストでの入賞をきっかけにメジャー歌手に成長。昭和の歌謡史にとって重要な場所だった。

 83年には、施設内のバーベキューハウスでプロパンガスが爆発し14人が死亡する事故が発生。施設親会社のヤマハが一時CMを自粛した。

 施設は売却される方向で検討されている。ただ掛川市は、施設を20年東京五輪の事前キャンプ地の候補として推薦しており、松井三郎市長は、施設を継続的に運営できるようにヤマハに申し入れる意向でいる。

 ▼音楽評論家田家秀樹氏(69) フォーク界だけでなく、Jポップ界にとっても衝撃は大きい。05~12年まで開催された「ap bank fes」は環境問題がテーマで、桑田佳祐(60)ら多くのトップミュージシャンが出演した。太陽光発電などの自然エネルギーですべての電力を賄った。環境問題のシンポジウムも行われ、音楽を楽しみながら地球環境を考えるフェスのはしりだった。

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