「真田丸」堺&大泉&草刈 父子3人が語る「犬伏の別れ」三谷流の泣き笑い

[ 2016年9月3日 08:00 ]

大河ドラマ「真田丸」で描かれる「犬伏の別れ」。密室で向かい合う(左から)信幸(大泉洋)信繁(堺雅人)昌幸(草刈正雄)(C)NHK

 NHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)は4日、最大のヤマ場の1つ、第35話「犬伏」。サブタイトル通り、真田家が生き残りをかけ、袂(たもと)を分かつことになる「犬伏の別れ」を描く。主人公・真田信繁役の堺雅人(42)、信繁の兄・信幸役の大泉洋(43)、兄弟の父・昌幸役の草刈正雄(63)、3人の“証言”を基に、真田家の物語で最も有名で、最も心揺さぶるエピソードを読み解く。

 関ヶ原の戦い(慶長5年、1600年)目前。上杉攻めのため徳川軍に従っていた真田家に、ある便りが届く。石田三成(山本耕史)や大谷吉継(片岡愛之助)が打倒・徳川家康(内野聖陽)のために挙兵したという。豊臣方につくか、徳川方につくか。信繁(堺)信幸(大泉)昌幸(草刈)は下野国(栃木県)・犬伏の地で激論を交わす。真田家が生き残るための選択とは――。

 堺「すごく有名なエピソードだったので、すごく大きな芝居場なのかと思いきや、実は兄上のお芝居だったんだなと思いました。『信幸の決断』というタイトルが付けられていいぐらい。フォーカスが当たるべきは大泉洋さんのお芝居。何かしなきゃとか思っていたんですが、僕は(大泉の演技を)受けるということだったんだなと。やってみて思いました。信幸が投げた球を受けただけのことなので。やはり、あのシーンは大泉洋さんが引っ張ってくださった結果だと思います。すごくカッコよかったです」 

 大泉「『真田丸』においては、ずっと父上に振り回されっぱなしで、大事なところはだいたい蚊帳の外だった信幸さんでしたから、台本を読んでいて『キタッ!』という感じはありましたね。『信幸、頑張っている』と、信幸さん自体の成長もすごく感じました。もちろん家族が敵味方に分かれて戦うんですが、(脚本の)三谷(幸喜)さんは台本で決してそうじゃないんだということを言っているので、そこはグッと来ましたね。(7月3日放送の第26話「瓜売」で)おばば様(草笛光子)が言った言葉『たとえ離れ離れになっても、真田は一つ。心さえつながっておればな』が効いてくるのが、さすがだなと思いました」

 草刈「三谷さんの脚本を読んで、裏切られました。もっと感動で、泣きで、と思っていたら。でも、あれはおもしろかったですね。感動的な気持ちになりますが、3人で大笑い。三谷さんらしいなと。3人とも楽しんでやりました」

 番組公式サイトは「犬伏の別れ」仕様に変更。トップページのモノクロ画像はスライドし、その中には事実、堺や大泉が大笑いしているカットがある。PR動画の最後も「笑いと、涙と。」の文字とともに、笑い声が聞える。笑いの要素を随所に盛り込んできた三谷氏だけに、今回の大きな節目がどう描かれるのか、注目される。

 堺、大泉、草刈の3人による共演シーンは「犬伏の別れ」が最後。

 堺「(3人のシーンが)終わった気がしないのは、ばば様じゃないですが『離れ離れになっても、真田は一つ』という言葉があるからかもしれないですね。そんなにウエットな感じでもなかったですが、ただ、兄ともう一緒に遊べないんだという寂しい思いはありました」

 大泉「やっぱり、どこか寂しさはあったように思います。日に日に、前室でも何となく『そんなに(残りは)ないんだよね』というようなことを言いながらやっていたんでね。何かこう、寂しさはありました」

 草刈「撮影に入る前は気持ちが高揚したというか。洋ちゃん(大泉)はいつもは場を沸かせたりするんですが、それもなく、しーんとしながら3人で待っていました。特別なシーン?そうですね」

 父子3人の話し合いとなると、1月17日放送の第2話「決断」で北条氏政(高嶋政伸)につくか、上杉景勝(遠藤憲一)につくかで、くじ引きをしたことが思い出される。演出は第2話「決断」も第35話「犬伏」も、チーフの木村隆文氏が務めた。

 制作統括の屋敷陽太郎チーフプロデューサーは「編集室で(木村氏に)聞いたのは、3人の3ショットを大切にしたいということ。それぞれのアップも大切なんですが、そのアップに行くための位置関係を分からせる3ショットではなく、3人の年月を感じさせる、3人が紡いできた関係性が分かるように、3人全員を見せる画を大事にしたいと言っていました」と木村氏のこだわりを明かす。

 脚本、演出、演技と総力を結集した最大のクライマックスの1つ。しかと目を凝らしたい。

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2016年9月3日のニュース