萩野公介は「努力の天才」 金メダリストをつくった驚きの練習量

[ 2016年8月17日 14:20 ]

12日、競泳男子200メートル個人メドレー決勝で、萩野公介選手に声援を送る前田覚さん

 リオデジャネイロ五輪の競泳男子400メートル個人メドレーで萩野公介(21)が金メダルを獲得したことを受け恩師を取材した。御幸ケ原スイミングスクール(栃木県宇都宮市)の前田覚・主任コーチ(44)は、小学3年から高校3年までの10年間、萩野を指導。今大会、日本最初の金メダルに「教え子が世界一。こんなうれしいことはない。公介に感謝です」と声を弾ませた。

 萩野はその後、800メートルリレーで銅、200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得。今後、彼にあこがれて水泳を始める子どもも増えてきそうだ。そんな萩野は、いったいどんな少年だったのだろうか。

 小学3年時に同スクールに入会。初めて泳ぎを見た時の印象について前田コーチは「驚いたのは背泳ぎ。水をかく時に肩が水面から出ていた。水面の上に肩が出ると、水の抵抗が減り、遠くに手を運ぶこともできる。背泳ぎで肩が水の上に出ている小学生は後にも先にも公介以外、見たことがない」と振り返った。

 小学生時代、腕立て伏せは2~3回がやっと。それでも、当時からダントツに速かった。パワーではなく「効率的に水をつかんで推進力にする感覚が天才的だった」というのだ。

 では、一体、その才能をどうやって伸ばしたのか。天才少年、天才少女といわれながら、いつの間にか消えていくは選手も多い。前田コーチは、水泳を嫌いにならないことを第一に考え、必ず本人に「こう思うけれど、どう思う?」と問いかけた。萩野が「なんか、しっくりこない」と言うと「じゃあ、やめよう」。その中で理にかなっていないことだけは、しっかりと「間違っている」と伝えたという。

 萩野のように幼い時から優秀な成績を残す選手がいる一方、高校、大学から一気に才能が開花する選手もいる。前田コーチは「どんな選手も世界で活躍するのには、当たり前だけど努力が必要。そんな中、萩野は努力の天才でもあった」と話した。練習中に倒れてしまうのではないかと心配するくらい限界まで自分を追い込んだといい「小学生は普通はそこまでできない。才能のある子が誰よりも努力をしたから、ここまでの選手になったと思う」と指摘する。

 2020年の東京大会まであと4年。再び努力を積み重ねる天才が、どんな成績を残してくれるのか、早くも楽しみになってきた。(記者コラム)

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