今度は80’sアイドル特集 スピリッツの新路線は漫画界にどう影響?

[ 2016年8月8日 11:08 ]

 7月4日発売号で日本国憲法の小冊子を付録にして話題を呼んだ週刊漫画誌「ビッグコミックスピリッツ」が、今度は「80’sアイドル特集」を組んでいる。表紙は聖子ちゃんカットのAKB48島崎遥香だ。

 アイドル自体は、青年漫画誌の主要コンテンツではある。だが80’sアイドル8人がお宝グラビアで登場し(撮影は当時から活躍する人気グラビア写真家の渡辺達生氏!)、南野陽子とケンドーコバヤシ、松本伊代と早見優の対談、アイドルデビュー年表もある28ページの企画だから、普段のアイドルグラビアとは明らかに違う。

 オジサン読者を狙った企画かと思えば、そうではないらしい。立案者は、スピリッツ編集部の今野真吾さん(31)。同号から始まるラブストーリー漫画との連動企画だという。漫画は、80年代の歌やアイドルが好きな現代の高校生の物語。今野さんは「この頃のアイドルは、グループで活動する現代のアイドルと違う魅力がある。今の読者にも知ってほしい」と話した。

 80’sアイドルの活躍をリアルタイムでは知らない今野さんは、動画サイトで南野陽子を見てファンになった。身近さがアイドルの魅力ではなかった時代。手に届かない美しさを彼女たちは一人で背負っていた。

 同誌が一連の特集企画を打ち出した背景には、インターネットの発達などによる、紙媒体の売り上げ不振がある。ただ、全ての紙媒体が売れないわけではない。坪内崇編集長は「週刊誌などは企画の良し悪しで売り上げが大きく変わる。面白ければ売れるんです」と強調する。漫画誌が漫画以外を扱ったっていい。「昔の漫画誌は、いろんな特集を組んでいたんですよ」と坪内編集長。確かに、かつての漫画誌はプロ野球や相撲などにページを割くことも多かった。原点に戻ったと言うべきなのかもしれない。

 紙媒体不振とはいうが、漫画の事情は少し複雑だ。坪内編集長によると「単行本の売り上げはまずまずで、連載している漫画誌の売り上げを補っている面がある」という。漫画は「クールジャパン」の牽引車。“単品買い”による漫画誌の衰退は、漫画原作の多いアニメやドラマ、映画などコンテンツ産業全体の衰退にまで繋がりかねない。

 そんな中で生まれたスピリッツの特集路線。「憲法号」では、同誌の作家陣が「今の日本」をテーマにイラストを描き下ろし、漫画誌ならではのものとなった。第3弾企画も準備中と聞いたが、どう漫画と絡むか楽しみだ。漫画ファンとしては、イラストや4コマなど作家陣の積極参加を期待する。

 漫画誌の魅力は、世界観の違う作品が集まる“ごった煮”の面白さ。作家同士の共鳴や反発などの相互作用、物語の進展を毎週(毎月)待つリアルタイム感など、単行本にはない面白さもある。

 スピリッツの打ち出した路線が、今後の漫画界にどんな影響を与えるか注目したい。(記者コラム)

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