「真田丸」小日向秀吉も見納め 先入観なく好演 たけしイメージ?

[ 2016年8月7日 08:00 ]

最期が近づき、変わり果てた姿の秀吉(小日向文世)(「真田丸」第31話から)(C)NHK

 NHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)で、俳優・小日向文世(62)の好演が光る豊臣秀吉。子どものような無邪気さや、震え上がるほどの恐ろしさで存在感を放ってきたが、直近の2話(第29話「異変」、第30話「黄昏」)で徐々に衰えていく様子が描かれた。刻々と近づく秀吉の最期を前に、小日向に話を聞いた。

 今作への出演が決まると、脚本を担当する三谷幸喜氏(55)から「今までにない秀吉をお願いすることになる」と伝えられた。その言葉通り、三谷氏が用意したのは従来の大河ドラマで描かれてきた秀吉とは一味違う、喜怒哀楽の激しいキャラクター。小日向はこの難役を演じるにあたり「無邪気な秀吉と、恐ろしいくらいに嫉妬で狂う秀吉、その間の精神的な部分での冷静さという3つを意識しました」と語る。

 最も鮮明に覚えている場面としては、初めて秀吉が大きな怒りをあらわにした第20話「前兆」(5月22日放送)を挙げる。側室の茶々(竹内結子)が子を身ごもったことを“揶揄”する落書きが城下で発見されたシーンだ。

 「壁に悪口を書かれたときに腹の底から怒って『門番の親兄弟、隣近所の人まで磔(はりつけ)にしろ』と言うくらいですからね。すごい人だなと…。この時の秀吉っていうのは恐ろしいですよね」

 また、秀吉の人となりについては「自分の思い通りにいかないと腹を立てる。一方、自分の欲がかなっていればニコニコしている。そういう意味じゃ、子どもみたいな人なんでしょうね。あとは、人が何を考えているか分かる点、人を見抜く目が優れているのかもしれない。見抜かれているなと思った人にとっては、怖い人なんでしょうね」と分析した。

 これまで多くの名優が演じてきたが、軸にした“秀吉像”はあったのか。

 「僕が知っている秀吉というのは『太閤記』(NHK大河ドラマ、1965年放送)で緒形拳さんが演じた秀吉。あとは映画『清州会議』(2013年公開)で大泉洋くんが演じた秀吉。他の秀吉は見てないんですよ。19年間、劇団(オンシアター自由劇場)にいたんですけど、テレビをほとんど見ていなかったので。僕は逆に見ていなかったから良かったのかもしれませんね。予備知識がなかったものですから、三谷さんが今回書いてきた秀吉像を想像して演じることができました」。秀吉という人物への先入観がなかったことで、スムーズに三谷氏のイメージを表現でき、好演につながったのだった。

 一方、主人公・真田信繁を演じる堺雅人(42)は、小日向が秀吉の持つ“狂気”と“気さくさ”をタレントのビートたけし(69)になぞらえて話をしたことがあったと明かす。「ナメてかかると、殺されそうな感じ。でも、すごくオープンな部分と。僕はたけしさんに何度かしかお会いしていないんですが、そういうイメージで考えたりもしました。小日向さんの言葉は演じるよすがになったりしました」
 
 秀吉を中心として物語が展開されてきた「大坂編」は7日放送の第31話「終焉」でクライマックスを迎える。堺も「秀吉の死をここまで丁寧に描いた作品というのは、そうないのではないか」と太鼓判。信繁の人生に多大な影響を与えた豊臣秀吉の最期とは――。

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