ケガだけは注意を…体操・内村“ヒヤリ”で思い出す2つの場面

[ 2016年8月6日 11:00 ]

床運動の着地を失敗し、起き上がる内村

 リオデジャネイロ五輪が開幕した。4年後の東京五輪に向けて、過去の五輪とは比較にならないほど各競技の代表選手への注目度は高い。

 メダルラッシュが予想される体操。中でも男子のエース内村航平選手は期待を集める。そんな内村選手に、ヒヤリとする場面があった。本番を前にした床の練習で、何度も着地に失敗。直後の会見では「自分では(どうすればいいか)分かっている」と話し、明るい表情を見せた。

 演技に関しては、ベテラン内村選手の体に染みついているだろうから問題ないのだろう。ただ、足首など体のコンディションは大丈夫だったのかと心配になった。体操は着地の時、体重の約15倍の負荷が足にかかるという。もう何十年も前だが、体操競技会場で、選手がケガをした瞬間を目撃したことがある。東京で開催された「東京カップ」という大会だった。旧東ドイツの男子選手が跳馬を飛んだ時、着地に失敗。「オーッ!」といううなり声をあげて、その場に倒れ込んだ。

 選手が飛んだのは前方3回宙返り。当時最も難しいと言われていた大技だった。選手はそのまま担架で運び出された。東ドイツチームの中でも有力な選手だったが、その後の国際大会で姿を見なかったので、長期離脱ということになったのだろう。

 夏季五輪の話ではないが、長野五輪のときにはこんなこともあった。当時、長野支局で勤務していた記者は、五輪を前にした選手、関係者による集会を取材。終了後、徒歩で支局に戻る時、支局の近くにあった宿泊先のホテルに向かうフリースタイルスキー、モーグルの上村愛子選手と一緒になった。まだあまり有名でなかったので、ざっくばらんに「調子はどう?」などの会話を交わした。その時、上村選手が「あっ!」と言ってつまずいた。足元を見ると、少しかかとが高い靴を履いていた。

 「大丈夫?」

 「はい」

 「靴、気をつけた方がいいんじゃないの?」

 そんなことを言ったと記憶している。集会はパーティーのようなものだったので、おしゃれをしたのだろう。

 五輪で選手が着地に転倒したりするのを見るたびに、この2つのことを思い出す。選手はみな、4年間、厳しい練習を積んできた。そして迎えた輝かしい舞台。最高のパフォーマンスができるよう、ケガだけは注意してほしい。地球の反対側の日本からそう願って、声援を送りたい。

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2016年8月6日のニュース