小池氏 高齢者介護問題は職員も家族も報われる政策を

[ 2016年8月4日 08:40 ]

 先月31日に投開票され、小池百合子氏(64)の圧勝で幕を閉じた東京都知事選。選挙の争点として取り上げられていたのは待機児童や高齢者介護の問題だった。

 高齢者介護、特に介護職員の待遇改善に関して、小池氏が政策として訴えたのは都内に81万戸あるとされる空き家を現物支給するというもの。この政策について、介護福祉士の資格を持ち、昨年まで介護施設で働いていた都内に住む友人に話を聞いてみた。

 この友人は介護職時代、月に150時間の勤務で約22万円を受け取っていた。施設によっては同じ労働時間で16万円というところもあり、無資格の場合、さらに月収は下がる。友人は「僕はかなりいい条件だった」と言うが、「勤続年数による昇給は見込めず、人生設計は建てられなかった」と、今は別の仕事をしている。同じ施設で働いていた男性は約8割が独身だったという。

 実際に小池氏の政策が実現したとして、また介護の現場に戻ろうと思うかと聞くと、「家賃が浮くとしても、その分生活環境が悪化したら変わらない。そこまで魅力には感じていない」と語った。「狭い家に数人で押し込まれるような状況になるかもしれない」「耐震はしっかりしているのか」など、空き家に対する不安な点もあるという。

 介護職員の待遇改善は、本来、介護現場における職員不足を解消するための政策。住む場所を確保出来るという理由で、職員は増えるのだろうか。友人に聞くと「介護福祉士を目指す人が増えたり、一度辞めた人が戻ってくることにはつながらないと思う。でも、無資格で働こうと思う人は増えるかもしれない」と答えた。資格を持たない人は在宅介護においては出来る事が限られるが、介護施設で職員として働くことはできる。

 介護職員が増えることに期待は持てるのかもしれない。だが「人材の確保だけを考えて、無資格の職員が増えて、介護の質が下がったら意味はない」と友人。今年2月に川崎市の老人ホームで入居者3人をベランダから突き落とした職員が逮捕された事件、7月に相模原の障がい者施設で起きた事件など、介護施設の職員が入居者に危害を加える事件も起きている。

 介護職員の待遇改善はあくまで介護の充実のための政策。介護の現場を知る友人は「頑張って介護をやっている職員、お金を払って入所している高齢者やその家族が報われるような政策をしてほしい」と願う。

 人数を増やすという初手だけで終わると、290万票の期待に沿うことはできない。(記者コラム)

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