【母と惑星…】斉藤由貴が憎めない“鬼母”体現 パルコ劇場“最後”の新作 

[ 2016年7月15日 09:00 ]

舞台「母と惑星について、および自転する女たちの記録」の1場面(左から斉藤由貴、志田未来、田畑智子、鈴木杏)(撮影:引地信彦)

 女優の斉藤由貴(49)が上演中の舞台「母と惑星について、および自転する女たちの記録」(東京・パルコ劇場)で“鬼母”役に挑戦。メガネ姿のコミカルな母親役が好評を呼ぶ「au WALLET」のCMなどから一転、柔和なイメージを一新している。

 奔放に生きた母が突然、この世を去った。徹底的に放任され、父親を知らずに育った3姉妹は母の遺骨を抱え、トルコの首都イスタンブールへ旅に出る。異国の地で3姉妹はそれぞれ、母の記憶をたどる…。イスタンブールと故郷・長崎を舞台に、母娘4人の愛憎を描く。

 斉藤が演じるのは3姉妹の母・辻峰子。男を取っ替え引っ替えしては家を空け、酒・タバコ・博打が好き。3姉妹は幼少期から、およそ母親らしい愛情を注がれた覚えがない。例えば、ある日の食卓。峰子は突如、箸を放り出し、高校生の長女が作った料理を「まずか」と容赦なく捨てる。

 特異な役柄と長崎弁はハードルが高く、稽古中に「正直言って、逃げ出したい気持ちが満載」と弱音を漏らした斉藤だが、見事に仕上げてきた。序盤からトップギアで、劇場に怒号が響き渡る。娘たちを怒鳴り散らす姿は迫力満点。その肢体はなまめかしく、母というより1人の女としての側面も。しかし、最低の母親には違いないが、どこか憎めないのも確か。乱暴な物言いの中に時折“母性”が見え隠れ。斉藤が複雑なキャラクターを体現した。

 三女・シオ役に志田未来(23)次女・優役に鈴木杏(29)長女・美咲役に田畑智子(35)。それぞれモノローグがあるが、志田は重要な部分を任され、真っすぐな声でストーリーを引っ張る。鈴木は絶妙な“ツッコミ”で笑いを引き出し、物語はシリアス一辺倒にならない。田畑の柔らかさも作品に彩りを加える。

 脚本は、劇団「モダンスイマーズ」の作・演出や舞台版「世界の中心で、愛をさけぶ」「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」、映画「ピンクとグレー」などで知られる蓬莱竜太氏(40)。現在と過去の行き来や、3姉妹が持つ“謎”を巧みに構成し、観客を離さない。

 演出は、井上ひさし氏の戯曲を上演する劇団「こまつ座」の数々の作品やストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍する演出家・栗山民也氏(63)。奇をてらわない確かな手腕と最小限のセットで、見る者の想像力を刺激する。

 1973年に開場して以来42年間、日本演劇界の中心の1つとして上演を重ねてきたパルコ劇場は、ビル建て替えのため8月7日をもって一時休館。今作が“最後”の新作となる。東京公演は31日まで。地方公演の日程は以下の通り。

 仙台公演:8月4日(木)=電力ホール、広島公演:8月9日(火)=JMSアステールプラザ大ホール、北九州公演:8月13日(土)14日(日)=北九州芸術劇場中劇場、新潟公演:8月16日(火)=りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場、大阪公演:8月20日(土)21日(日)=シアター・ドラマシティ。

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