ラーメンズ7年ぶり共演の理由「小林賢太郎テレビ」最大の挑戦に片桐仁不可欠

[ 2016年6月24日 10:00 ]

「小林賢太郎テレビ8」で7年ぶりに共演するラーメンズの小林賢太郎(左)と片桐仁(C)NHK

「小林賢太郎テレビ8」小澤寛プロデューサーに聞く(上)

 舞台を中心に活躍し、新しい形の笑いを追求しているお笑いグループ「ラーメンズ」の小林賢太郎(43)が年に1回、テレビで新作コントを発表する「小林賢太郎テレビ」。その第8弾「小林賢太郎テレビ8~wonderland~」が26日午後10時からNHK BSプレミアムで放送される。今回は、TBS日曜劇場「99・9―刑事専門弁護士―」の好演が記憶に新しい相方・片桐仁(42)が初登場。それぞれのソロ活動が増え、2009年の舞台「TOWER」以来7年ぶりとなる共演が発表されると、ラーメンズ“復活”と大きな話題を呼んだ。第1弾(09年)から番組の演出を手掛けるNHKエンタープライズの小澤寛プロデューサーに片桐出演の経緯、収録時の2人の様子などを尋ねた。

 「ラーメンズ」は1996年に多摩美術大学版画科の同級生だった2人が結成。99年に始まったNHK「爆笑オンエアバトル」に出演。“片桐”という謎の生物について講義を繰り広げる「現代片桐概論」など、シュールなネタで知名度を上げた。

 98年から17回を重ねた本公演(舞台)は毎回、チケット入手困難。47都道府県を題材にした「不思議の国のニポン」(第15回公演「ALICE」)に代表されるような言葉遊びや知的センスあふれるコントをはじめ、時にミステリーがかり、時に手品のようなトリックもある数々のネタは、シンプルな舞台美術とモノトーンの衣装&裸足というスタイリッシュなビジュアルも重なり、唯一無二の世界観と存在感。テレビにほとんど出演しない分、カリスマ的な人気を誇る。

 第17回公演「TOWER」以降、小林はソロ公演「POTSUNEN」シリーズや演劇プロデュース公演「KKP」シリーズなど、精力的に活動。その作風は「アート」と称され、欧州など海外からも高く評価される。片桐は俳優としてテレビドラマや舞台に引く手あまたとなった。

 今回の「小林賢太郎テレビ8」は小林、片桐、北海道発の演劇ユニット「TEAM NACS」のメンバーとしても知られる俳優・大泉洋(43)の3人を中心に、小林の舞台作品でおなじみの竹井亮介(44)辻本耕志(39)久ヶ沢徹(52)、そして番組5作目から出演している劇団「ナイロン100℃」の看板女優・犬山イヌコが脇を固める。

 キャスティングについて、小澤プロデューサーは「小林さんはアテ書きをされるので『この人だったら、こういうセリフを言う』とイメージが湧くことが非常に大事なんです。よく言われることですが、ラーメンズの主演俳優は片桐仁、脚本・演出は小林賢太郎。ずっと演出してきた主演俳優なので、小林さんは片桐さんのことは知り尽くしています。一方、大泉さんはラーメンズの昔からのファンで、小林さんと旧知の仲ですし、小林さんの目指す笑いの世界観をすごく理解されていている。なおかつ役者さんとして抜群に勘のいい方で、1言えば10返してきてくれるすごい役者さん」と説明。

 「ラーメンズ復活と話題になりましたが、まずご説明しないといけないのは、ラーメンズは解散も活動休止もしていません(笑い)。あくまで、それぞれの活動に集中していた結果、たまたま7年空いただけだと思います。小林さんが考えていることは、いつも目の前にある作品のことだけ。小林さんが作る笑いの世界は日々進化していて、その新しい世界を形にするには、どういう座組みが一番いいのかを絶えず考えている。その結果がソロ舞台であったり、自分のプロデュースする演劇作品という形だった。その結果、7年空いただけ。そう個人的には解釈しています。今回、小林賢太郎テレビの8作目を作るにあたり、新しいチャレンジを行いました。それを形にする一番いいキャスティングを考えた時、大泉さん、片桐さんが必要だった。それで、この座組みになったということです」。当然と言えば当然だが、今回、番組が目指したものを成立させるための起用だと明かした。

 となると、大泉と片桐を必要とした今回の作品はどういうものなのか。

 「小林賢太郎テレビ」は第5作(13年)第6作(14年)第7作(15年)で、ミニドラマ4本を軸にストーリーを展開し、その合間に様々なコントが入る構成を確立。ドラマ部分は「5」の「マルポ便」に大泉、「6」の「なぞなぞ庭師」に松重豊(53)、「7」の「連続テレビ文庫 エンヤートット」に上野樹里(30)をゲストに招いた。

 小澤プロデューサーは「小林さんのコントは見る人の想像力に任せる部分が多いので、刺激的な分、見る人はものすごく頭を使うんですね。それを何本も見続けるのは疲れるだろうと。だから、純粋にストーリー展開を楽しめるドラマを柱にして、そこで頭を休ませてもらいつつ、なおかつドラマのストーリー展開で番組全体の推進力も持たせる。その分、コントはとんがったもので攻める。その狙いは、うまくいったと思います」。メリハリのある作りは番組の完成形と思われたが、今作の「8」についてはこう語る。

 「その方程式を1回捨てたことが、8の最大のチャレンジなんです。今回はドラマとコントが厳密に分けられないんです。8は番組全部が1つのストーリーになっています。もちろんドラマのようにストレートに物語が進んでいくものではなく、様々なエピソードがアメーバーのようにお互いにリンクして、それが1つのストーリーになっているもの。ある部分はドラマのようであり、ある部分はコントのようでもある。『混沌』と『秩序』。その一番いいバランスを狙っています。でも、これを成立させるには、実力を持ったキャストが必要なんですね。その『混沌』を担うのが片桐さんで、『秩序』を担うのが大泉さんです。混沌はボケ、秩序はツッコミと置き換えると分かりやすいかもしれません。小林さんが仕掛けた1時間の壮大なボケとツッコミのストーリー。この2人でなかったら、今回のチャレンジの結果は全く違うものになっていたかもしれません。どういう仕上がりになっているかは、ぜひ番組を見ていただきたいのですが、コントって、こんなに奥深いんだと感じてもらえたら、うれしいですね」。誰も見たことがない作品へのチャレンジ――。だからこそ、大泉と片桐が不可欠だった。

 ラーメンズの7年ぶり共演については「2人が揃うと、やはり感慨深いものはありました。大泉さんも台本に片桐仁、小林賢太郎と名前が並んでいるのを見て、感動したとおっしゃっていました」と小澤プロデューサー。「今回の番組でも、ラーメンズファンの方が『あ、これ、あのコントかな?』と思えるシーンがあります。さらに言うと、なぜそのコントを選んだのかを深読みしていただけると、8の一番大きな仕掛けを解くキーワードが見つかると思います。それは今までラーメンズを応援してくれてきたファンへの、小林さんならではのサービスなのかなと思います。もちろん、それ以外にもラーメンズ2人のシーンはたっぷりあるので、ラーメンズファンの方にはすごく楽しんでいただけるんじゃないかと思います」

 収録時の2人については「実際に小林さんが片桐さんに演出をつけると、みるみるおもしろくなるんですね。そこはすごいと思いました。“あっ”と言う声のトーン、しゃべり方のスピードにしても、小林さんは片桐さんに『あの時の“あっ”みたいに言って』と。『ここは、あの作品のあのキャラで』というような、2人だけの共通言語があるので、現場における2人の修正はすごく早かったですね」と明かす。

 さらに、2人のコンビネーションを象徴するやり取りがあった。

 真っ昼間の公園で走り回るコント。2テイク撮った後、片桐は「もう無理」と倒れ込んだ。小林は「もっとおもしろくなると思った」ようで「仁さん、嫌ならいいんだけど、もう1テイク、できないかなぁ。ねぇ、仁さん」と呼び掛ける。背中を向けて黙る片桐。「嫌ならいいんだけど、もっとおもしろくできると思うんだよね…」(小林)「やるよ!」(片桐)。小澤プロデューサーは、脚本・演出家、そして主演俳優として長い年月を過ごしてきた2人の信頼関係を感じたという。

 2日後、7年の時を経て、ついにラーメンズの2人が並び立つ瞬間が訪れる。

 【小林賢太郎テレビ8】東京であった仕事を終え、地元に帰るべく新幹線に乗り込んだ1人の男(大泉)。目を覚ますと、新幹線に1人きり。長いトンネルの中を走り続ける新幹線の中で、男は不思議な出来事に次々と遭遇する。奇妙な映像が流れる車内モニター。形を変える新幹線。扉の鍵穴ごしに見える劇場の舞台。そして、次々に現われる不思議な登場人物たち。誰も見たことがない笑いの世界――。番組から与えられたお題を基に、3日間でコントを1本作る恒例「お題コント」コーナーも。

 ※25日は小澤プロデューサーが制作秘話などを語ったインタビュー後編を配信。

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