柿澤勇人 恩師蜷川さんの死に涙「自分の考える芝居変えてくれた人」

[ 2016年5月13日 15:53 ]

主演ミュージカル「ラディアント・ベイビー~キース・へリングの生涯~」公開稽古に臨んだ(左から)岸谷五朗、知念里奈、柿澤勇人

 俳優の柿澤勇人(28)が13日、都内で主演ミュージカル「ラディアント・ベイビー~キース・へリングの生涯~」(6月6~22日、東京・日比谷シアタークリエ)の稽古を都内で公開。12日に亡くなった演出家の蜷川幸雄さんについて、「今でも信じられない。なんで逝っちゃったんだろう」と涙ながらに恩師を悼んだ。

 柿澤は2012年「海辺のカフカ」で蜷川作品に初出演。「難しい役でしたけれど、まさに1000本ノック。死ね、この野郎、ブス、下手くそ、やめちまえと言われ、家に帰って40度の熱が出たこともあった。悔しくて、悪態をついたこともありました」と当時を振り返った。

 だが「食らいついて」14年の再演、昨年の世界ツアーにも出演。「世界ツアーが終わって、本当にいい役者になったなと言われ、また芝居をやりたいと思った。いつも自分を疑えと言っていた言葉が、今一番胸の中にあります」としみじみ。今回、31歳で早逝した実在のアーティストのキース・へリングを演じることも、蜷川さんに報告していたそうで「僕の考えていた芝居を変えてくれた人。あっちの世界からも、相変わらずつまらない芝居してんなって言われそうですが、蜷川さんにも見てほしい」と声を詰まらせていた。

 また、演出を手掛ける俳優の岸谷五朗(51)も、「ショックを受けていない演劇関係者はいないはず」と沈痛な面持ち。そして、「演出家ってたくさんの不可能があって、それをひとつひとつ具現化させていく仕事。それを蜷川さんは国境、言葉を超えどんどんと可能にしていった。本当の神様になってしまいましたけれど、僕たちはまだ芝居を作れる幸せを感じながら、蜷川さんに恥じない作品が作れるようにしたい」と自らに言い聞かせるように話していた。

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