草刈正雄 “悲劇”乗り越えた絆「家族がもっと密になった」

[ 2016年4月17日 10:30 ]

還暦を過ぎ、甘いルックスが渋さを増した草刈正雄

草刈正雄インタビュー(下)

 俳優の草刈正雄(63)がNHK大河ドラマ「真田丸」で脚光を浴びている。主人公・真田信繁(幸村)の父親で天才武将の昌幸役がはまり、放送回を重ねるごとに評判はうなぎ上り。知略軍略で徳川、上杉ら強豪を翻弄(ほんろう)し戦国の世を生き抜く役どころだが、私生活では一転、年頃の娘2人に翻弄されるキュートなパパだ。

 家庭での父の顔はひと味違っておちゃめ。88年に元モデルの大塚悦子さんと結婚。長女でパーソナルトレーナーの紅蘭(くらん、26)、次女で女優の麻有(22)からは「真田さん」といじられることもあり、「昔は“正雄”って呼び捨てだったんですよ」と苦笑い。家族は出演作を見ないといい「僕が褒めてもらいたくて“どうだった?どうだった?”って何度も聞くので、うっとうしいらしいですよ。見なさいよって言ってるんだけど、見ないねえ」。そうため息をつく姿は世間のお父さんたちと同じで悲哀たっぷり。

 紅蘭が高校時代に恋人を自宅に連れて来た時は、ショックで散歩に出たまま帰ってこなかったなどのほほ笑ましいエピソードもあり、娘たちの結婚についても「いずれそうなるんだろうけど寂しいよね」としみじみ。一方、親子共演は「照れくさいけど、たまにはいいなと思う。この間は長女と仕事をして、インタビューにしっかり答える姿を見て感心しましたよ」とうれしそうに話した。

 父は米国軍人で、母一人子一人で育ったため「大家族に憧れた」。1男2女に恵まれたが、昨年2月、長男(享年23)がマンションから転落して亡くなった。悲痛な出来事を受け止め「家族がもっと密になったと感じます」と絆を再確認。「老人になって、かみさんと手をつないで歩く夫婦になれたらいいなと思っています」と未来図も明かした。

 息抜きは自宅で飲むビール。テニスが趣味で、スリムな体形を維持している。「二枚目」「ハンサム」の代名詞だった甘いルックスは、渋さと深みを増しダンディーだ。

 「若い頃は二枚目と言われるのが嫌で、突っ張ってあえて崩そうとしていたけど、この顔でずっとこの世界に居続けることができたんだから感謝感謝だね。昔は仕事の数だけ悩んだりジタバタしたけど、落ち着いてきました。60歳を過ぎたらおまけの人生。のんびりするのもいいかなと思ってます」。荒波を乗り越えたどり着いた境地。この気負いのなさが、最高の当たり役を生み出したといえそうだ。

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