井上晴美、恐怖語る…4年前から在住の熊本で被災「パニックに」

[ 2016年4月16日 05:30 ]

井上晴美

 4年前から在住している熊本県内で熊本地震に遭遇したタレントの井上晴美(41)が、一夜明けた15日、スポニチ本紙の取材に応じ、当時の恐怖を語った。3人の子供たちを抱えて「パニックになった」と吐露。屋外で一睡もせず夜を明かし「たき火の暖かさも感じないほど寒かった」と振り返った。

 子供たちを寝かしつけて、台所でひと息。何げない日常の一コマ。そのとき、震源の益城町にほど近い井上の住まいは、震度6強の揺れに見舞われた。「ドンと下から突き上げる揺れ。立ってられなかった」。食器が散乱。冷蔵庫も倒れた。

 とっさに子供を抱き上げたが「外に出るべきか揺れが収まるのを待つべきか。パニックになりました」。何とか冷静さを取り戻し、さらなる倒壊を避けるべく、近所の友人宅に身を寄せた。庭にテントを張り、子供たちを寝かせた。大人は不測の事態に備え、たき火を囲んで寝ずの番をした。

 余震は収まらない。情報源はスマートフォンのみ。全容が見えない中、「救急車と消防車、両方のサイレンが響いているのが聞こえた」。夜が更けると、寒さと恐怖との闘いだったという。

 約20キロ先の、熊本市内の井上の実家には両親が暮らす。幸い連絡がつき無事を確認した。「でも“家はもうダメだ”と父が言ったので、急いで帰りました」。慣れ親しんだ通り道は封鎖され、迂回(うかい)を繰り返してたどり着くと、「玄関がゆがんで開かない。窓は外れ、壁は一面亀裂。育った場所が、あんなにぐちゃぐちゃになるなんて」とショックを受けた。取り壊さざるを得ないほどの損傷だという。

 その後、住まい付近に戻り、現在はメキシコ人の夫と長男(8)、長女(6)、次女(4)と5人で、車中とテントに分かれて過ごす。キャンプ感覚で楽しんでいた子供も、地震から丸1日がたち「いつ家に帰れるの?とぐずり始めている」という。

 16日、熊本は雨の予報。「今後どうしようか、まだ決めかねてます」。雨を避けるには住まいに戻るしかないが、余震による倒壊の不安が拭えず踏み切れない。

 「自然に囲まれて育ってほしい」と移住。広い畑で野菜を作り、悠々自適だった暮らしは一瞬で崩れた。いつまでこんな生活が続くのか。「まさか熊本でこんな地震に遭うとは思っていなかった」。それでも子供を守り抜くだけ。最後には「頑張ります」と力を込めた。

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