「真田丸」ビビりな家康が生まれた訳 屋敷CP「偉人を逆算で描きたくなかった」

[ 2016年3月27日 15:01 ]

「真田丸」第5話の“伊賀越え”。必死の形相で逃げる家康(内野聖陽)の姿がインターネットなどで話題となった(C)NHK

 NHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)で俳優の内野聖陽(47)が演じる徳川家康が注目を集めている。心配性でちょっとビビりな家康。これまでの戦国時代を描いた大河ドラマや映画では、まさに“たぬきオヤジ”として扱われることが多く、過去の大河では「葵 徳川三代」(2000年)の津川雅彦(76)、「功名が辻」(06年)の西田敏行(68)、「軍師官兵衛」(14年)の寺尾聰(68)ら名優が老かいな家康を演じた。だが「真田丸」の“内野家康”は違う。なぜ、これまでのイメージとは違った家康像になったのか。制作統括の屋敷陽太郎チーフ・プロデューサーに、脚本を手掛ける三谷幸喜氏(54)ら制作陣の意図を聞いた。

 家康は堺雅人(42)演じる真田信繁の難敵。目鼻立ちくっきりな、いわゆる“濃い”顔の内野が演じるのだから、豪傑でリーダーシップをいかんなく発揮するキャラクターだと思われた。だが、違った。“内野家康”はちょっぴり頼りないのだ。第3話では藤岡弘、(70)演じる本多忠勝に戦場跡地での供養を促されるも「表には出とうない。武田の残党がいたらどうする?」と渋い顔。生涯最大の危機といわれる“伊賀越え”(第5話)では落人狩りに遭い、必死の形相でわめきながら逃げ続けた。インターネット上では「シリアスな場面のはずなのに笑った」「コミカルすぎる」と面白がる視聴者の声が集まった。

 ビビりな家康はいかにして誕生したのか。屋敷チーフ・プロデューサーは「三谷さんやスタッフと“偉大な人を最初から偉大な人として描くのはどうなんだろう?”と話し合ったんです」と明かした。

 「逆算で描きたくなかった。天下を獲った人だから天下を獲りそうな顔にしようとかではなくて。若い頃から俺は偉人なんだっていう人はいない。その時その時を必死に生きていたと思うんです。ものすごい豪傑タイプというよりは、繊細で心配性で、石橋を叩いても渡るか渡らないか考えてしまう人が、意外と偉大なことをしたんじゃないかと。議論を重ねるうちに今回の家康のキャラクターが出来上がりました」と説明した。“家康って天下人になったけど自分の周りにいる小心者と変わらないじゃん”と視聴者が親近感を感じるのが人間味ある“内野家康”の魅力なのだろう。

 もちろん心配性なだけでは天下統一は成し得ない。屋敷チーフ・プロデューサーは「第4話で草刈正雄さん演じる真田昌幸が、織田信長に取り入ろうと書状でトリックを使おうとした時も最初に見破るのは家康です。心配性だけど、実は理知的な面がある。家康の先見性というか、洞察力も描いています」と家康が持つクレバーな部分についても触れた。

 放送回が進むごとに心配性な家康自身も人間として成長していく…。主人公の信繁だけでなく、内面の弱さと強さをさらけ出す“内野家康”からも目が離せない。

続きを表示

この記事のフォト

2016年3月27日のニュース