ディーン・フジオカ ブレないのは家族愛 日本に呼び寄せる?

[ 2016年2月23日 11:00 ]

真っすぐな視線でインタビューに答えるディーン・フジオカ
Photo By スポニチ

ディーン・フジオカ インタビュー(下)

 今最もホットな俳優、ディーン・フジオカ(35)。放送中のNHK連続テレビ小説「あさが来た」(月~土曜前8・00)で、明治時代の大阪経済界の重鎮・五代友厚を演じて大ブレークを果たした。端正なルックス、五代と重なる誠実な人柄に、日本中の女性が「五代さま~」とメロメロ。彗星(すいせい)のごとく現れた男に会ってきた。

 海外在住が長いだけに、考え方も独特。朝ドラに出演して良かったことを聞いていると、「日本以外の国にいても、ホテルや大使館、レストランでNHKは見られる」という。香港や台湾のファンにも作品を届けられることがうれしいのだ。写真投稿アプリ「インスタグラム」に投稿する文章にも、日本語、英語、中国語が並ぶ。意識の先には必ず「世界」がある。

 20日に公開された主演映画「NINJA THE MONSTER」は、江戸時代の忍びを題材とした作品。海外向けに製作されたが、ディーンの人気を受けて国内先行公開が急きょ決まった。日本に縁がないと思っていた男が、日本の歴史を背負って海外に発信する立場になった。「五代さんが後押ししてくれたと思うんですよね」と、閉鎖的な時代に国際化に尽力した先人とのつながりを感じずにいられない。

 「五代さんの時代は、脱藩して密航して、船に何カ月も乗って、着いたら殺されるかもしれない時代。現代は飛行機も乗りやすいし、パスポートさえあればどこにも住めて働ける。これは現代人の特権ですよ。それをムダにしてはいけない」

 その言葉通りの行動を取ってきた。「空港さえあれば、世界のどこでも仕事はできる」というスタンスを貫く。行く先々で英語、広東語、北京語と語学を極めてきた男は、海を渡ることに抵抗がない。

 「“来てください”と言ってもらえて、行く方法が確立されていて、安全保障まである。チャレンジしなかったら、命を懸けてその権利を勝ち取った先祖に顔向けできないじゃないですか」と、当たり前のように語る。古き良き日本人の義理堅さと、グローバルで柔軟な考え方を、バランスよく持っていると感じた。

 今後のビジョンを聞くと「絶対にブレないようにしたいのは、家族と一緒に過ごせる環境をつくること」とキッパリ。12年に2歳年上のインドネシア人の夫人と結婚。14年に誕生した双子の愛息、愛娘とジャカルタに住んでいる。ディーンは“単身赴任中”だ。

 「日本に呼び寄せる?そうですね。このまま仕事が続くなら、そうしないとコンセプトが崩れますから。こだわらなきゃいけないのは、家族のつながりを固く維持することです」。家族愛を語る言葉はすがすがしく、その誠実な人柄を表している。

 ▽「NINJA THE MONSTER」 長野藩の救済を請うために江戸に向かう幸姫(森川葵)と、それを護衛する忍びの伝蔵(ディーン)らの物語。もののけに行く手を阻まれながら、命懸けの旅に臨む。ディーンの特技の殺陣が見どころ。松竹の若手監督育成プロジェクト「ブルーラインレーベル」の作品で、26日までの期間限定で公開中。監督落合賢。

続きを表示

この記事のフォト

2016年2月23日のニュース