コウベリーズ躍進 AKB巨大化でご当地アイドル戦国時代前夜 

[ 2016年2月19日 10:30 ]

神戸発のご当地アイドル「KOBerrieS♪」

 神戸発のご当地アイドル「KOBerrieS♪」(コウベリーズ)の人気が盛り上がり始めている。10日発売の最新シングル「ドンギバ♪」はオリコン最新シングルチャートで、グループ初のトップ20入りとなる19位にランクインした。

 所属事務所にいるアーティストはコウベリーズだけ。東京の大手芸能事務所に所属するアイドルグループのように、宣伝費という形でしっかりと資本投下されることは少ない。社長とマネジャーが手塩にかけて育てている印象で、結成当初の2012年頃はトラックの荷台をステージ代わりにして歌うこともあったという。

 それでも関西圏を中心に土台を固め、少しずつ知名度を上げた。事務所社長も今回が勝負どころとばかりに、最新シングルは実力派アーティスト「ハジ→」の制作チームに楽曲を依頼した。さらに「ドンギバ♪」のPVでは、大の阪神ファンで神戸を第2の故郷としているお笑いタレントの松村邦洋(48)を起用。得意のものまねを次々と披露した。楽曲のクオリティーの高さと話題性の歯車がかみ合って、オリコンチャートで躍進となった。

 全国各地にいるご当地アイドルの数は500を下らないという。地方自治体が町おこしの一貫としてプロデュースしているグループもいるが、多くはコウベリーズ同様、小さな事務所で地道に活動している。そんなご当地アイドルを中央は数年前まで「頑張ってね」と冷たい目で見ていたフシもあるが、最近はかなり状況が変わってきた。

 福岡のアイドルグループ「Rev. from DVL」に所属する橋本環奈(17)は映画「セーラー服と機関銃」の主役に大抜てきされた。広島の「MAPLEZ」や新潟の「Negicco」などはライブパフォーマンスの高さで全国ツアーでもソールドアウト続出だ。山口の「山口活性学園」は安易な恋愛ソングを歌わず、クオリティーの高い楽曲でリリース作品はオリコンTOP10の常連となりつつある。

 「応援せずにはいられない身近な存在」という新しいアイドル文化を創造したAKB48は、あまりに巨大なアイコンとなってしまい、結成当初のコンセプトからは転換を余儀なくされる状況となっている。しかし、AKBグループが作った新しいアイドルの定義は拡散し、次々とフォロワーが出現している。その中でもご当地アイドルは“おらが村の”という特性もあいまって、まさにその定義を体現できる存在。AKBという巨人が方向性を模索する中、ご当地アイドルをめぐる現状は戦国時代前夜なのかもしれない。(記者コラム)

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2016年2月19日のニュース