紅白の現状鮮明に…人気グループ頼み、「嵐」の後に“静けさ”

[ 2016年1月5日 06:29 ]

紅白歌合戦でサプライズ登場した前田敦子(右)、大島優子(左)と熱唱する高橋みなみ

 昨年大みそかの「第66回NHK紅白歌合戦」の瞬間最高視聴率は午後11時40分の45・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、全員の歌唱を振り返るダイジェスト映像の場面だった。歌手別の最高は午後9時54分、AKB48からEXILEに移った直後の43・4%。終盤に数字を大きく伸ばせなかったことが、第2部の平均視聴率で歴代最低の39・2%を記録する一因になった。

 歌手別の最高を記録したのは、新年カウントダウンの2時間以上前の午後9時54分だった。AKB48が歌唱中、前田敦子(24)と大島優子(27)のOG2人が、卒業を控えた高橋みなみ(24)を激励するためサプライズで登場。その盛り上がりを受けてEXILEが歌い始めた場面だった。AKB48の前は嵐で、人気グループが連続で登場した時間帯に注目が集まった。

 その勢いのまま40%台をキープしたいところだったが、ゴールデンボンバーが出演した後は30%台にダウン。視聴率は小刻みに乱高下を繰り返し、終盤に向けて右肩上がりとはならなかった。大トリを務めた松田聖子(53)の42・2%も、EXILEの数字を上回ることができなかった。

 音楽関係者は「嵐ら人気グループの投入が早すぎたのでは」と分析。「目玉となる出場者がいないのに、常連の人気グループを中盤で使ってしまった。クライマックスに向け見せ場を盛り込めず、息切れしてしまった印象だ」と指摘する。

 前回まで司会を務め、曲紹介ごとに顔を出した嵐は今回、ジャニーズのカウントダウン公演に出演。震災復興支援ソング「花は咲く」を合唱する午後10時ごろまで、自分たちのステージを含めて5回登場しただけでNHKホールを後にした。司会を務めたジャニーズのカウントダウン公演の中継番組の視聴率は、前年の番組から10%アップの12・5%を記録するという、紅白にとっては皮肉な結果だった。

 特別企画枠で4年ぶりに復帰した小林幸子(62)や、紅白を卒業する森進一(68)も数字を伸ばすことができず、スポニチ本紙の調べでは紅白史上初めて、最終盤に40%を割る結果になった。演歌勢は全体的に苦戦。常連の人気者に頼らざるを得ない紅白の現状が鮮明になったといえそうだ。

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