脱マンネリを掲げながら目立ったマンネリ…最低視聴率の紅白を斬る

[ 2016年1月3日 05:35 ]

紅組の優勝で幕を閉じた紅白歌合戦。視聴率は8年ぶり40%割れ

 昨年大みそかの第66回NHK紅白歌合戦の平均視聴率は、午後9時から11時45分の第2部で39・2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だった。前年から3・0ポイント減で、8年ぶりの40%割れ。2部制に移行した89年以降で最低の記録となった。視聴率の記録が残る1962年以降でも歴代最低。脱マンネリを掲げて出場歌手の世代交代を進める紅白だが、演出などでマンネリが目立った。

 午後7時15分からの第1部も34・8%で、前年から0・3ポイント減。2部の39・2%は、04年の39・3%を下回り過去最低となった。裏番組との兼ね合いや視聴方法の変化も要因にあるが、多くの音楽関係者は「脱却したはずのマンネリが別の角度から出た」と指摘する。

 13年に北島三郎(79)、昨年は森進一(68)が卒業。新たに三山ひろし(35)、山内惠介(32)を起用するなど、演歌の出演者の年齢の若返りを図っているが、演出では過去に見たようなものが目についた。

 連続テレビ小説「あさが来た」の特別編は、13年に好評だった「あまちゃん」コーナーを思い起こさせる作りで、民放の人気アニメのキャラクターを担ぎ出した特別企画「アニメ紅白」では一昨年に好評だった「妖怪ウォッチ」が再び登場。「過去に視聴者にウケた企画を焼き直ししたように見えた」という声がNHK関係者からも漏れた。

 構成にも疑問の声が上がった。音楽関係者は「出演者によって歌う時間や曲数が異なっていた。時間が少なく、聴く側も消化不良の歌手もいた。どういう基準で決めているのか」と首をかしげた。音楽市場アナリストの臼井孝さんは「若者に人気のアーティストが早い時間に出てしまい、終盤は“安全”な懐メロばかり。生放送ならではの驚きがない」と辛口評価。

 「出演者の持ち味が引き出しきれず、面白さが半減した」との見方もある。時間の制約からか、総合司会の黒柳徹子(82)が目玉であったはずのマシンガントークを発揮できる場もなかった。音楽関係者は「わくわく感に乏しかった」と語った。

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2016年1月3日のニュース