「下町ロケット」竹内涼真の“感動の涙”を生んだ現場のプロ意識

[ 2015年12月24日 08:05 ]

竹内涼真

 20日に大団円を迎えたTBSドラマ「下町ロケット」。最終回となった10話の視聴率は平均22・3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)で、今年の民放連ドラ1位となった。多くの人を引きつけた魅力は何なのか。その問いに「キャスト、スタッフ全員の高いプロ意識」を挙げる人は多い。

 その1人が、主演阿部寛(51)率いる佃製作所で、国内初の人工心臓弁「ガウディ」の開発チームリーダーを演じた竹内涼真(22)だ。

 9話で、完成したガウディを携え、臨床承認を審査する機関との面談に出席。ライバルと癒着する面接官の妨害で佃が窮地に追い込まれた時、「命の尊さを、会社の大小で計ることができるでしょうか!」と、大粒の涙を流しながら熱弁したシーンは、多くの視聴者の胸を打ったことだろう。

 今年はテレビ朝日「仮面ライダードライブ」に主演し知名度を上げたが、年齢を見ても分かるとおり、駆け出しだ。下町ロケットがクランクインした当時について「ただ圧倒されるだけだった」と振り返る。「1話で阿部さんが演説するシーンがあって、正直ヤバイなって思った」。浅いキャリアに加え、勉強も得意ではないと語る中での技術者役。「何もできない自分が入ってしまって、すごく焦りがありました」と話す。

 いずれ劣らぬ実力派がおのおのの役柄に命をかけ、しのぎを削る毎日。竹内は「盗む」ことでその一員になろうとした。「阿部さんや(技術者役の)安田顕さんのお芝居を見て、ポイントでこういうのを自分なりに使ってみようと試したりしました」。

 知識のなさは恵まれた環境が補ってくれた。「演じるときに、実際の技術者さんがいつも近くにいてくれる。分からないことがあったらすぐ聞ける状態だった」。もちろん、その環境づくりは、少しでも高みを目指す制作スタッフのプロ意識が生んだものだ。

 竹内ら「ガウディ」開発チームのモチベーションは、心臓の難病に苦しむ子どもたちを助けることだった。もっともな美談だが、仮に竹内が台本を型どおりに読み、うわべだけの設定を頭に入れ臨んでいたら、感動は伝わらなかっただろう。

 開発に何度も失敗した壮絶な体験談や幾多のハードル、でも、いくら倒れても決してあきらめない理由。そうした実際の技術者のリアルな心情を完璧に表現することを目指し、現場は一丸となっていた。9話で竹内が流した涙が胸を打ったのは、この現場にふさわしい自分になるため、あらん限りの努力を惜しまなかったからだろう。

 面談シーンの後、阿部から「良かった、ありがとう」と言葉をかけられ「少し自信になった」と話した竹内。最終回前日の19日にカレンダーの発売イベントを行った際には「去年のカレンダーを見ると、顔が子ども」と話した。プロの厳しさを身をもって知った経験が、そう言わせるのだろう。現場に息づく妥協なき作品づくりのDNAを若手が受け継ぎ、第2、第3の「下町ロケット」を生み出してほしい。(記者コラム)

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