山田洋次監督「亡くなったなどという知らせを聞きたくありません」

山田洋次監督

原節子さん死去

　▼山田洋次監督　原節子さんが亡くなったなどという知らせを聞きたくありません。原節子さんは美しいままに永遠に生きている人です。半分は神様と思って手を合わせます。

　▼元映画プロデューサー山内静夫氏　原節子さんは女優の象徴のような人。一つの時代が終わったと、ぼうぜんとしています。「秋日和」「東京暮色」でご一緒しましたが、他の俳優さんとは輝きが別格。普段は無口でご自分のことを語るような人ではなかったが、仕事後の宴会では、小津安二郎監督たちと明るくビールなどを飲んでいらした。引退後は、私が本を書く際、ご登場をどんなにお願いしても「済んでしまったことですから」と絶対に表に出ようとせず、その点はとても毅然（きぜん）とした方でした。

　▼映画「秋日和」などで共演した女優司葉子（８１）　残念です。原さんはお元気な方でしたが、骨折しても病院に入らない人でしたから、肺炎をこじらせたのでしょう。夏前に電話で１時間ぐらい何から何まで話しました。新聞をよく読む方で、政治や映画の話もしました。大女優である半面、プライベートでは非常に普通の感覚を持っていた。出会えたことは幸せでした。ある時は姉妹のように親しく話しました。先に逝かれた小津安二郎先生をはじめ、みんなが歓迎して、今頃は映画の話をしていると思う。引退後も写真でしか会えなかった多くの人に慕われて、永遠に記憶に残る女優さんだと思います。

　▼女優香川京子（８３）　明るく元気で、美しくて品の良い方でした。映画界に入る時も憧れの存在で、「東京物語」でご一緒できるのが凄くうれしかった。尾道のロケでは部屋が隣で、お部屋に行ってお話ししたのを覚えています。まるでお姉さんのように優しく接してくださった。引退するのはもったいないと思いましたが、お考えがあったのだと思います。引退後は鎌倉にいらっしゃるということは時々、耳にしていましたが、お話しする機会もなかった。凄く寂しいです。