挑戦続くWOWOW 山一破たんのその後描いた「しんがり」好評

[ 2015年9月26日 12:00 ]

「しんがり」の主演を務める江口洋介

 20日にWOWOWでスタートした江口洋介主演のドラマ「しんがり~山一證券 最後の聖戦~」。1997年に自主廃業した山一證券が舞台の物語で、企業名を伏せることなく破たんの真相に迫った社会派ドラマで、視聴者の評価も高い。「食肉偽装」「AV業界」「クローン問題」「少年犯罪」など、スポンサーや内容の制約上、地上波では難しい刺激的な題材をテーマに“挑戦するドラマ”を制作してきた同局の姿勢は今回もブレていないようだ。

 「しんがり」とは、戦いに敗れて軍隊が撤退する時、軍列の最後尾で敵と戦い、味方をうまく逃がす、いわばたてのような存在。ドラマでは山一證券を自主廃業へ追い込んだ、経営陣らの不正を “しんがり”と呼ばれる無名の社員たちが究明、最後まで筋を通したしていくというストーリー。正義感の強い主人公には江口洋介、共に闘う同志に萩原聖人・林遣都・真飛聖、破綻の元凶を作った会長役に岸部一徳など個性あふれる俳優陣が織りなす骨太の人間ドラマに仕上がっている。

 WOWOW加入者を対象としたWOWOWウォッチャー(対象者1000人、東京・データニュース社)によると、第1回放送の視聴者満足度は3・95(5段階評価)と高満足度の基準3・7を超える高い数値を記録した。視聴者の回答からも「事実に基づいた社会派ドラマだけにリアリティーがあり見応え十分」(49歳・女性)、「実際にあった山一證券の倒産までの事実をどのようにドラマ化するのか、今後の展開が期待できる内容」(61歳・男性)など、当時を知る世代を中心に好評だ。

 山一證券といえば、自主廃業を発表する記者会見で「社員は悪くありませんから!」と号泣する社長の姿を思い浮かべる人も多いだろう。そこで終わりではなく、そのあとに“敗戦処理”という、誰も上がりたくないマウンドに登った社員がいたことは、それほど知られていない。2014年度講談社ノンフィクション賞を受賞した、清武英利氏の原作本でストーリーを知っている視聴者も多いかもしれないが、それに迫る、あるいは超えるドラマになることを期待したい。

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2015年9月26日のニュース