LiLiCo プロレスデビューへの2つの思い 賞味期限は「2年」

[ 2015年8月10日 10:05 ]

プロレスに挑戦するLiLiCo

 映画コメンテーター、タレントだけでなく、最近はプロレス・デビューを発表して話題になった、LiLiCo(44)。年明け早々から肉体改造を試み、今では週5日のジム通い。今月に行われるプロレス団体「DDT」からのリング・デビューに向けて準備万端だ。スウェーデンから来日して27年、40代での無謀ともいえる挑戦には、2つの思いがあった。

 ショーの一部としてリングに上がったことはあるが、これまでの人生の中で格闘技経験はゼロ。それでもLiLiCoは「私の周りには“32歳で独身、もう終わりだよぉ”とか嘆いている女性が多くて……。そんなネガティブな思考に対して、凄くもったいないという気持ちになる。私の挑戦を通して“何事もやればできるんだ!”ということを証明したい」とレスラー・デビューへのテーマを口にする。

 もう1つのテーマもある。プロレスラーという個性が、タレントとしての引き出しを増やすチャンスと考えている。「テレビ番組を研究してわかったことは、タレントがバラエティー番組に頻繁に出演できる期間は2年間ということ。売りとなるキャラクター性を徐々に変えていかないと、飽きられて消えてしまう。今の私はボディービルとプロレスで注目される時期だと捉えています」。冷静な分析の上でのセルフ・プロデュース。変化の早さを自覚し、躊躇(ちゅうちょ)せず次の生きる道を探す。この瞬発力があるからこそ、映画コメンテーターから肉食系タレントとして活躍する今の姿に納得がいく。

 行動力も半端ではない。専属マネジャーを付けない主義のLiLiCoは、自分のことはすべて自分でやる。レスラー・デビューした際の入場曲は、自身が大ファンであるスウェーデン出身のメタルバンド・EUROPEの名曲「ファイナル・カウントダウン」と決めているが、バンドが来日した際には自らアポを取ってメンバーに直談判。「“試合の入場曲に使わせて”とお願いしたら“お前、プロレスラーなのかよ!?”って爆笑してくれて、快く公認してくれた」と体当たり交渉の成功を子供のように喜ぶ。

 肉体の変化に手応えを感じる一方で、ふとした時に“乙女心”が頭をもたげる。「スウェーデンの家族には、プロレス・デビューすることは伝えていません。だって家族の中では(本名の)“アンソフィー”でいたいから……」とポツリ。「試合のことを考えると、正直怖いです」と声のトーンも落ちる。

 なぜ「怖い」のか。それは「プロレスラーが自分より背が小さいと、蹴るのが怖いのよ。子供のころに母から“自分よりも小さい人を殴ってはいけない”と教わったから」という理由からで「自分がやられる分には平気。でも“芸能人は歯が命”だから、首から上は攻撃しないでほしいわ。決め技は考え中。コブラツイストならぬ“LiLiCoブラ”ってどう?」と一転、豪快な高笑いだ。

 女優としても幅を広げている。8月22日公開の映画「東京PRウーマン」では、大御所タレントのLiLiCoという一風変わった本人役で出演。主演の山本美月(24)を叱る場面では「あるテイクでは怒鳴り過ぎちゃって、カットがかかった瞬間に美月ちゃんが“ああ、怖かった”と呟きながら震えていた」。役では怖いが、撮影現場では持ち前のサービス精神を発揮し、ビビらせた山本を食事に誘ったり、現場スタッフをイジったり、ムードメーカーに徹した。

 映画コメンテーター、タレント、女優、そしてプロレスラー…この先も肩書は増えていくのだろう。だが、それぞれの立場で100パーセントの力を出して挑む姿勢は変わらない。変化はしていくが、軸はぶれない。言葉に出すことは簡単だが、誰でもできる生き方ではない。そこに44歳・LiLiCoの存在価値がある。(石井 隼人)

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2015年8月10日のニュース