TBSの9時間超の音楽特番 最高視聴率はあの2人

[ 2015年7月11日 09:30 ]

懐かしのサングラス姿でポーズをとる郷ひろみ(左)と樹木希林

 TBSテレビの放送60周年特別企画として、6月27日に生放送で行われた特番「音楽の日」は9時間以上にわたり、総勢50組の歌手が出演。豪華な顔ぶれが集結した。

 3つの時間帯に分けて集計された視聴率は、最も良かった番組後半(午後7時~11時9分)で10・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったが、瞬間最高視聴率は17・8%。平均より約7%も“跳ねる”のは異例のことだ。

 この数字を叩き出したのは誰か。

 若者に大人気の男性7人組「三代目 J Soul Brothers」でも、女性アイドルグループの「AKB48」でもない。

 それは、アイドルたちのおじいちゃん、おばあちゃん世代の2人。郷ひろみ(59)&樹木希林(72)のペアだった。

 36年ぶりにデュエットした「お化けのロック」と「林檎殺人事件」は、70年代に2人が共演したドラマで歌った劇中歌だ。30代前半の記者自身、リアルタイムでは聴いていない曲。だが、2人が「お化け…」の衣装のオーバーオールのペアルックで登場しただけで、凄いものを見た気がした。

 コミカルなダンスを、2人とも笑顔で踊る。希林が郷の周りをケタケタと小走りで動く。まるでバラエティー番組のコントのよう。大ベテラン2人の本気が、見る者を惹きつけた。

 前日のリハーサル前、希林は「これから振り付けを覚えなきゃならないのよ~。声も出ないんだけど」と自信なさげ。「どれだけ劣化したか分かりますよ」「もしダメでも、あたしゃ自分に期待をしてないので挫折もしない」とあきらめの境地に達したかに見えていた。

 それが、1時間ほどのリハーサルで36年前の自分を取り戻していた。出来ると分かって、壮大な前フリをしたのか…。本番に強いのか…。いずれにせよ、予想に大きく反していた。「どうせ踊れないだろ」と、思ってスミマセンでした。

 ところで、このリハーサル前の取材がかなり面白かった。紙面には到底書くことのできない、希林のブラックユーモアのオンパレード。

 お互いの印象を聴いていると、希林は「郷さんは○○と同い年でね~。同じ時代を生きてたんだな」と、いきなりある犯罪者の名前を出して、面食らう記者陣。若い頃の郷の印象を聞いたときも、「この人ね、“僕はね~、結婚は1回だけですね。何回もするなんて考えられない”と言ってたのよ」とモノマネしながら言う。ご存知、郷の結婚歴は3回。今度は郷が面食らっていた。その様子もまた面白い。

 「36年ぶり」ということは、それだけの間、浮き沈みの激しい芸能界を生き抜いてきたということだ。

 深みがあるのも当然。ベテランの凄さを感じた1日だった。

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2015年7月11日のニュース