もず唱平氏 戦時中の幻の童謡を復元!8・2平和祈念イベントで発表

[ 2015年7月11日 10:10 ]

戦時中に歌われた曲の復元に尽力したもず唱平氏

 「釜ケ崎人情」「花街の母」などの作詞家・もず唱平氏(76)が、30年来の盟友でイラストレーター成瀬國晴氏(79)の学童疎開中の思い出曲「ぼくらのおうち」を“復元”し8月2日、大阪市内で開かれる平和祈念イベントで発表する。無名の女性が作り、戦時下の子供の心を癒やし支えた幻の童謡が戦後70年の節目によみがえる。

 成瀬氏は大阪市立精華国民学校3年生だった1944年、滋賀県東近江市の東方寺にあった平松寮に学童集団疎開。皆が寂しい思いをしないよう寮母が自作し、♪勉強すんだら走ってく 手には釣り針 ごはんつぶ 今日は何匹つれるかな…と歌った曲の詞を昨年8月に出版した画集「時空の旅」に載せた。興味を持ったもず氏は「歌は曲と詞がそろって完結。口ずさめるなら採譜して完成させよう」と提案した。

 成瀬氏の記憶を頼りに再現した同曲に、もず氏は「作者はただ者ではない」と感じた。曲の終わり方などに工夫があり、作曲経験者か音楽教育に携わった専門家だと推測。

 また、「当時は戦争協力を促すものや機運醸成の歌がほとんどの中、珍しく本当に子供の心に沿った歌」と評価した。思い出せなかった部分の詞の創作を成瀬氏に頼まれたが、「寮母さんの思いを曲げないためにも、今回は手を加えず発表する」とした。

 イベントはもず氏が開館以来理事、現在も特別顧問を務める「ピースおおさか」で開催。もず氏と成瀬氏も出演し、歌手の高橋樺子(年齢非公表)が同曲を歌う。もず氏は「発表後、この歌を当時教わったという人が出てきたら、完全復元も夢ではない」と期待した。

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2015年7月11日のニュース