「宇多田ママ」の“秘密”に肉薄するも…書けなかったワケ

[ 2015年7月8日 09:30 ]

出産を発表した宇多田ヒカル

 7月3日朝。起き抜けに打ちのめされた。「宇多田ヒカル出産」のニュース。記者が目覚める数時間前にホームページでなされた突然の報告だった。驚きもそこそこに、朝っぱらから、電話をかけまくることになった。

 芸能記者としては、完全に“してやられた”ケース。でも、負け惜しみでなく、頭には終始こんな思いが渦巻いていた。「あのとき、もう少し頑張っていれば、スクープできたかもしれない」。

 宇多田をめぐっては、出産発表の約1カ月前からマークしていた。ただそれは出産でなく、復帰作発表のニュース。電撃結婚などでたびたび世間をにぎわせている宇多田だが、本業の音楽活動については2010年から長く休止している。あるとき、音楽関係者から「間違いない。本当に近いです。気をつけた方がいいですよ」と耳打ちされ、記事化をはかっていたところだった。

 その耳打ちをきっかけに、周辺取材を始めた。今にして思えば、ここが運命の分かれ目だった。どの関係者に聞いても、音楽活動再開についてはほとんど隠すそぶりもなかった。「もうレコーディングしてるはずだよ」「時間の問題だよね」。やっぱりそうなんだ、と確信を深める。でも、同時に何とも言えない違和感も感じていた。

 それは「復帰の時期」を聞いたときの反応。それまでなめらかだった関係者の証言が、一様にトーンダウンする。「まあできれば年内に出す方向でまとめたいらしいけど…」「まだはっきりとは…」。妊娠、出産しているとなれば、当然予定は白紙になる可能性も高くなる。今考えれば、関係者にとっては、音楽活動再開より、はるかに知られたくない事実があったから、変に探られまいとこういう反応になったのだと分かるが、当時は、「なにか事情があるのかなぁ」と、それ以上考えるのをやめていた。

 このとき、もっと突っ込んで取材するなり、何らかのアクションを起こしていれば、(それでも難しかったとは思うが)もしかしたら、妊娠発表を飛び越した出産という宇多田の“秘密”にたどり着けたのでは、という後悔が今もぬぐえない。

 それにしても、情けないのは我が身の成長のなさ。数年前、大阪本社に勤務していたころにもこんなことがあった。当時は裏取り取材を怠り、ぼんやり情報待ちをしていた結果、ほぼ手中にしていたネタがスルリと逃げた。そのときのことは今でも肝に銘じ、取材しているつもりだったが…。いいかげん“ひよっ子”と言える年齢でもない記者だが、「宇多田ママ」からのほろ苦い教えを大切に頑張りま~す。

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