高良健吾 10周年 考え方変えた朝ドラ「逃げから見てもらう努力に」

[ 2015年6月25日 10:30 ]

10周年を迎える高良健吾

 今年で俳優デビュー10周年を迎える俳優・高良健吾(27)。日本テレビ系ドラマ「ごくせん」の生徒役で俳優としてのキャリアをスタートしてから、今では主演はもちろん脇役に徹することもできる役者として活躍中だ。

 映画「悼む人」、6月27日公開の「きみはいい子」と主演作が続く。現在放送中のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」では、高杉晋作という重要な役どころを熱演。10周年という節目の年は順風満帆だ。

 「“一つの事を10年やりなさい”と言われた時があって……。いざその月日を重ねてみると、周囲のサポートに感謝する一方で、まだ足りないという反省もある。その反省を踏まえてさらにこれからどんどん変わっていきたいという思いがあります」。俳優として、人間として進歩する気持ちは忘れない。それでも戸惑いや不安は数えきれなかったという。

 「たった数秒のシーンを撮影する為に何時間もかかったりする。正直“え?役者はこんなに難しいの?”の連続でした。人前で演技するのが怖くなって、辞めたいと思った事もあります。いつからか“わかる人にわかればいい”と考えるようになってしまった自分もいて、その時はスランプばかりでしたね」と手探りだった日々を振り返る。

 そんな葛藤の中で出あった作品が、NHKの連続テレビ小説「おひさま」だ。放送は2011年4月という、東北地方を中心に甚大な被害をもたらした大震災と原発事故の直後で、自粛ムードの中での放映と撮影だった。そこで高良は、視聴者からある手紙を受け取った。「被災地に住む方からで、“朝ドラが今の一番の楽しみ”というものでした。ほかにも主演の井上真央さんとの結婚するエピソードが放送されると、電報が届いたりしたこともありました」。

 リアルタイムで感想をもらったのは初めての経験。「こんなに喜ばれているのかと驚いた。今まで自分勝手に思い込んでいた“わかる人にわかればいい”というスタンスはずるいし、逃げだと痛感しました。見てもらう努力をしなければ何も始まらない。そんな当たり前のことを、朝ドラが教えてくれたんです」。視聴者のダイレクトな声が、高良の演じる上での心構えを大きく変えた。

 最新主演作「きみはいい子」では、学級崩壊寸前のクラスを受け持つ新米教師役。「撮影以外では妖怪ウォッチのメダルを見せてくれたり、一番の問題児役の子は、僕のところに来て“普段は違うからね~”なんて教えてくれて。本当に可愛かったですよ」と子供たちとのコミュニケーションはばっちりで「彼らが僕のことを自然と先生にしてくれた」と感謝している。

 10年一区切りと言うが、新しい役を演じたことでまた幅が広がったことは間違いない。「外ロケの日に天気がいいというだけで気持ちも切り替わりますし、幼少期から映画に影響を受けてきた人間なので、休みの日は映画を2、3本観たりします。それが最大のリフレッシュかな?」。次の10年を迎えると、不惑の四十路が見えてくる。どういう変化が高良健吾という役者に起こり、何が変わらないのか。注目したい俳優の1人である。(石井 隼人)

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