【TVプレビュー】「黒い画集―草―」先の読めない清張サスペンス

[ 2015年3月25日 11:00 ]

「黒い画集―草―」の1場面(左から剛力彩芽、村上弘明、陣内孝則)(C)テレビ東京

 松本清張の中編小説を半世紀ぶりに映像化したテレビ東京開局50周年特別企画「黒い画集―草―」は25日午後9時から放送される。原作は1960年に発表され、清張作品の中でも医療サスペンスの傑作と言われる。ドラマ化は61年(TBS)以来54年ぶり。初共演の村上弘明(58)と陣内孝則(56)が火花を散らし、剛力彩芽(22)が清張作品に初参加した。

 海外ミステリーの翻訳などを手掛けるスコッチ出版社の編集長・沼田一郎(村上)が意識不明で病院に運び込まれる。3日3晩徹夜し、偏頭痛が悪化。鎮痛剤とウイスキーを一緒に摂取したことが原因だった。娘の亜衣(剛力)も駆けつけ、幸い一命を取り留める。

 この朝島総合病院で、次々に怪事件が発生。親密な関係がささやかれる院長・朝島憲一郎(羽場裕一)と看護師長・雨宮順子(遠山景織子)が行方不明に。順子へのストーカーが噂される薬剤管理室長・堀村康晴(大門裕明)は遺体となって発見された。自殺の線で捜査は進むが、城西署の刑事・桐嶋英司(陣内)だけは他殺を疑う…。

 緊急搬送と薬剤管理室長殺害のシーンが交互に映し出される冒頭は緊迫感満点で、つかみはOK。理事長(横山めぐみ)事務長(笹野高史)から看護師、入院患者と登場人物が謎めいており、終盤まで全く先の読めない展開にグイグイ引き込まれる。特に、患者に似つかわしくない鋭い眼差しで病院の動きを追う村上の“目の演技”が印象的。陣内はアクの強い刑事を好演している。

 脚本はテレビ朝日「相棒」「警視庁捜査一課9係」や数々の2時間サスペンスなどを手掛ける深沢正樹氏(50)。監督は倉貫健二郎氏(48)。1997年、テレビ朝日「最高の食卓」で演出デビュー。2009年には「降りてゆく生き方」で映画監督デビューした。

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2015年3月25日のニュース