児童文学作家の松谷みよ子さん死去 「ちいさいモモちゃん」など

[ 2015年3月9日 11:10 ]

松谷みよ子さん

 「龍の子太郎」や「ちいさいモモちゃん」シリーズなどで知られる児童文学作家の松谷みよ子(まつたに・みよこ、本名美代子=みよこ)さんが2月28日午後6時13分、老衰のため東京都内の病院で死去した。89歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で済ませた。お別れの会は4月4日午前11時から東京都港区南青山2の33の20、青山葬儀所で。遺族代表は長女瀬川(せがわ)たくみさん。

 東洋高等女学校卒業後、会社勤めの傍ら童話を書き始める。疎開先の長野県で作家の坪田譲治に出会い、師事。1951年、初の短編童話集「貝になった子ども」を出版、児童文学者協会児童文学新人賞(現日本児童文学者協会新人賞)を受賞した。

 民話研究家の瀬川拓男と結婚、人形劇団「太郎座」を共同で立ち上げ、全国の民話採集を始めた。その活動から生まれた長編童話「龍の子太郎」(60年)は、貧困など現実社会の厳しさとファンタジーを織り交ぜて再構成し、講談社児童文学新人賞、国際アンデルセン賞優良賞などを受賞。アニメ映画化や舞台化もされた。

 自身の子育て体験を基に、保育園に通う女の子と働く母親の日常をほのぼのとつづった「ちいさいモモちゃん」は野間児童文芸賞を受賞、シリーズで600万部を超えるロングセラーになった。児童文学ではタブー視されていた離婚を描いたことでも話題になった。

 広島の原爆をテーマにした「ふたりのイーダ」を発表したほか、「原爆の図」の画家、丸木位里さんとともに絵本を作るなど反戦平和を訴えた。

 民話だけでなく、民間伝承の採集にも努める一方、「いないいないばあ」の赤ちゃん絵本シリーズなど幅広いジャンルで活躍した。

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2015年3月9日のニュース