斬新かつ王道 月9「デート」の魅力 脚本・古沢氏は娯楽性追求

[ 2015年3月2日 09:00 ]

「デート~恋とはどんなものかしら~」第7話の1場面(左から杏、長谷川博己)

 「リーガルハイ」などで知られるヒットメーカー・古沢良太氏(41)がオリジナル脚本を手掛け、恋愛力ゼロの男女を描く異色のラブコメディー「デート~恋とはどんなものかしら~」(フジテレビ、月曜後9・00)。従来の「月9」に見られた美男美女が繰り広げるきらびやかな恋愛模様とは違い、奇抜な設定で話題を呼んでいる。しかし、そこは古沢脚本。笑いを誘いながら、第6話の「お雑煮」などのエピソードは涙腺を刺激する。不器用ながら健気な2人に、いつしか感情移入。斬新ながら王道的。その不思議な魅力に迫った。

 古沢氏はドラマ「リーガルハイ」「相棒」、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」「探偵はBARにいる」、舞台「キサラギ」「趣味の部屋」など縦横無尽に活躍。今回は「リーガルハイ」チームと再びタッグを組み、恋愛ドラマに初挑戦した。東大大学院数理科学研究科卒で超合理主義者のリケジョ・依子(杏)と「高等遊民」を自称する芸術・教養オタクのニート・巧(長谷川博己)。恋愛不適合者のイタい2人が結婚を目指し、デートを重ねる姿をコミカルに描く。

 第1話、依子と巧は「デートなんて何が楽しいのか、サッパリ分からない」「恋愛なんかしたって何の成長もしない」などと、まさかの意気投合。恋愛至上主義を否定した。第2話、巧の「母に代わって寄生するなら、もうこの人しかいないと思った」というプロポーズは月9史上最低の呼び声が高い。ラブストーリーの名作を生んできた月9の概念を覆すような挑戦作に映るが、企画は約1年半前にスタート。放送枠は後から決まったという。 

 同局の狩野雄太プロデューサーも「ドラマを見て、恋愛っていいなと思っていただけたら、うれしいですけど。それよりも、月曜日って特に嫌な気分じゃないですか。週が明けて、仕事が始まって1日目で。暗い気分が少しでも明るくなっていただけたら、ありがたいなと思います」と肩肘張らない。

 大袈裟に言えば「月9」は時代時代の恋愛を映す鏡。新しい恋愛のカタチを打ち出すのか。いや、古沢氏も気負いはないようだ。狩野プロデューサーは「古沢さんはメッセージ性というよりも、単純に楽しんでいただきたい、ひたすらおもしろいものを作りたいんだと思います。それを追求しているんだと思います」と代弁した。

 恋愛に不慣れな2人が一生懸命な姿を見ていると、いとおしさを覚えるから不思議。狩野プロデューサーは「ある意味、デートってベタベタなタイトルですね。外側だけ見ると変わり者の2人が拙いデートをしているだけですが、意外と共感できるところもあると思うんですよね。第4話、依子に義務的なキスを迫られた巧が『ムードや雰囲気を大事にしてくれよ』と言うところとか。突飛に見えて、実は月9ぽくなっているんじゃないかな、結果的に。意識はしていませんが、ある種(月9の)王道的な雰囲気はあるのかもしれない」と語った。

 終盤に向け、2人の周囲も慌ただしくなる。第7話(2日放送)は謎に包まれていた巧の父(平田満)が登場する。狩野プロデューサーは「ある意味、そっくりです。この父親がいたら、巧はああなるなと思える演技をされています」と平田を絶賛した。

 巧が「高等遊民」になった理由の核心も、これから明らかになる。依子の30歳の誕生日が近づく中、2人に恋愛感情は芽生えるのか。異色作のラストを見届けたい。

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