結成34年のスタレビ 超一流に勝る“自称1・5流”の喜び

[ 2015年1月11日 09:40 ]

「スターダスト・レビュー」のリーダー根本要

 「木蘭の涙」などの名曲を生み出し、“スタレビ”の愛称で親しまれる4人組バンド「スターダスト・レビュー」。現在、36枚目の最新アルバム「SHOUT」を引っさげ約60公演にのぼる全国ツアー中で、阪神大震災20年の翌日である18日には神戸国際会館での公演も控える。リーダーの根本要(57)に、関西への思い入れやバンドを長年続ける極意を聞いた。

 “ライブバンド”と称されるスタレビ。デビュー34年目で公演数は2000回を超える。息の合った上質のサウンドとハーモニー。時にドラマチックに、時にロックに、時に寄り添うように…変幻自在で唯一無二の根本の歌声と抜群の話術。百戦錬磨の“ライブ力”で観客をとりこにしてきた。

 今ツアーでは、震災から20年の神戸に立つ。「もう20年か…18日のステージは考えないとなあ」と節目の公演に思いを馳せた。MBSラジオ「ヤングタウン」で93年までの6年間、DJを務めるなど関西とは縁が深い。「世の中との関わり方はヤンタンに教わり、僕らのステージは関西に育てられた」。リスナーとの双方向のやりとりが、観客参加型のライブスタイルにもつながった。

 それにしても年間60~70本ものライブを長年続け、喉や体調は大丈夫なのか。「経年変化はあるけど、必要以上のケアより訓練。痛かったら鍛えて治せっていう根性論の世代だから」と笑う。取材翌日の公演でもパワー全開だったが、中盤で「数日前からぎっくり腰」とまさかの告白。取材中もそんなそぶりはみじんも見せなかったプロ根性に、ただただ脱帽するしかなかった。

 コンテストでほぼ負け知らずのアマ時代を経て、81年にデビュー。大ブレークを期待されたが、「ふたを開けたら全然ダメ」だった。日本武道館も満員にするライブ人気とは裏腹に、チャート首位は未経験。「30年以上続くバンドが少ないから、サザンやアルフィーと並び称されるけど売り上げは天と地の差」と自虐的だ。「今夜だけきっと」「夢伝説」など有名曲も多いが、「30年歌い続けると“聴いたことがある曲”になり、“昔ヒットしてた”って尾ひれも付いてくる」と苦笑いした。

 バンドのモットーは“高い音楽性と低い腰”。周囲の大御所扱いにも惑わされず、若手とも本気の演奏で積極的に交流してきた。同業者にも慕われるが、「小田和正さんやユーミンさんの様な超一流にはなれない」と断言し、「それがスタレビの面白さ」とも話す。気難しいことで知られたという小田から約10年前、「スタレビに出合って俺は変わった。オマエらみたいなのでもいいんだと気づいた」と言われたそうだ。小田の言わんとすることが、最後に根本が語ったこんな言葉で少し分かった気がした。

 「スタレビは常に発展途上だから活動が続いてるのかも。成果も大事だけど、その過程にある“努力する楽しみ”を僕らは見せてる。それぞれの器の中で自分なりの喜びを見いだしながら1・5流ぐらいで居られるなら、悪くないよね」 

 ストイックに自己管理したり、大スターを目指す多くの歌手とは対照的なスタンスだ。怠けず欲張らず自然体で支持され続ける彼らが、小田の目には新鮮で面白く映り、心和んだのだろう。“超一流”にも一目置かれる“自称1・5流”なんて、悪くないどころかカッコよすぎる。

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2015年1月11日のニュース