ASKA被告来年末復帰も 良好な治療経過が最低条件

[ 2014年9月13日 05:30 ]

裁判を終え東京地裁を出るASKA被告が乗っていると思われる車(ナンバープレートを画像加工しています)

 覚せい剤取締法違反(使用、所持)罪などに問われた歌手のASKA(本名宮崎重明)被告(56)の判決公判が12日、東京地裁で開かれ、懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役3年)の有罪判決が言い渡された。植村幹男裁判長は「自分本位でごう慢」と批判する一方、保護観察は付けなかった。ASKA被告は判決後、文書で「家族の支えのもとで人として立ち直る」とコメント。早ければ来年末に仕事復帰する可能性が出てきた。

 耳が痛すぎる“説教”に声が出なかった。判決言い渡し後、植村裁判長から「自分本位でごう慢な考え方が見受けられる」「大切なものは何なのか、一から考え直してほしい」と説諭されると、体を硬直させ険しい表情を浮かべた。

 先月28日の初公判で、ともに逮捕・起訴された愛人の栩内(とちない)香澄美被告(37)のことを「大事な存在」とし、家族への愛情は口にしなかった“非常識”な答弁が批判されたものとみられる。最後に「いいですか?」と理解を促されたが、口は「はい」と動かしながらも声は出なかった。

 先月28日の初公判と同様、黒縁めがねをかけ、黒いスーツに黒いネクタイ姿。髪はやや乱れ、顔は青白い。一礼して入廷し、弁護側の前の席に座った。植村裁判長から「最後に述べたいことは?」と問われたが「いえ、ありません」と、初公判の時以上にかすれた声で答えた。

 懲役3年、執行猶予4年の猶予刑。刑が言い渡されると、こわばった背中がかすかに揺れた。薬物事件以外の軽微な事件を起こした場面でも執行猶予が取り消され、実刑に切り替わる「保護観察」の有無が注目されたが付かなかった。

 植村裁判長は「違法薬物に対する親和性、依存性は顕著かつ深刻で、常習性もかなり高度」と厳しく批判。一方で、洋子夫人が情状酌量を訴える上申書を提出したことなどを評価し「(ASKA被告が)反省の情を示し、今後は薬物依存からの脱却に向けて努力していくと誓っている」と量刑理由を述べた。

 ASKA被告は表情を変えることなく判決理由を聞き入り、閉廷後は傍聴席を見渡した後、一点を見つめて微動だにしなかった。その後、弁護士を通じて「家族の支えのもとで人として立ち直り、健康を取り戻す決意です」とコメントし、控訴しない意向を示した。地裁を出ると、入院先の千葉市内の病院に戻った。

 早ければ、薬物依存脱却のプログラムが終了して間もない来年末にも仕事復帰するとみられる。同じ覚せい剤事件を起こした元女性アイドル歌手は3年の執行猶予明けに復帰したが、ASKA被告はテレビやCMに出ないため、クリーンなタレントイメージは必要ない。限られたコンサート会場に、歌を聴きたい人だけを招待すれば、元薬物中毒者の顔を一般にさらすことにはつながらないからだ。

 覚せい剤依存の克服には、使用期間の倍の時間を要するとされる。ASKA被告ほどの常習者が仕事復帰するには、入院先の医師からお墨付きをもらえるほどの良好な治療経過が最低条件となりそうだ。

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2014年9月13日のニュース