「失楽園」渡辺淳一さん 前立腺がんのため死去 80歳 

[ 2014年5月5日 17:28 ]

亡くなった渡辺淳一さん

 1997年に映画化・ドラマ化もされた「失楽園」などで知られる直木賞作家の渡辺淳一(わたなべ・じゅんいち)さんが4月30日午後11時42分、前立腺がんのため東京都内の自宅で死去した。80歳。北海道出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻敏子(としこ)さん。

 1958年、札幌医科大学卒業。66年、同大医学部整形外科教室講師に。医業と並行して執筆を続け、同大学・和田寿郎教授による和田心臓移植事件を題材にした「小説・心臓移植」を発表し、大学を去った。

 70年、寺内正毅首相をモデルとしたとされる「光と影」で直木賞を受賞。本格的に作家活動を開始した。

 80年代からは「ひとひらの雪」「化身」などの恋愛小説を刊行。中年男女の不倫をテーマにした「失楽園」は大胆な性描写で話題となり、250万部を超える大ベストセラーになった。「失楽園」は流行語大賞に選ばれた。

 映画版は森田芳光監督の下、役所広司(58)黒木瞳(53)が主演。ドラマ版(日本テレビ系)は古谷一行(70)川島なお美(53)が激しい濡れ場を演じた。

 「阿寒に果つ」「遠き落日」「桜の樹の下で」「別れぬ理由」「愛の流刑地」など映像化された作品は多数。

 2007年発売のエッセー集「鈍感力」は、小泉純一郎元首相が引用し、流行語に。ベストセラーにもなった。

 2003年に紫綬褒章と菊池寛賞。直木賞や吉川英治文学賞などの選考委員を務めた。札幌市に渡辺淳一文学館がある。

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