島倉さん お墓準備していた…ピアノかたどり、戒名も

[ 2013年11月10日 06:00 ]

生前に都内の墓地に建てていた島倉千代子さんの墓。正面には大きく「こころ」と刻まれている

 肝臓がんで8日に死去した歌手の島倉千代子さん(享年75)が生前、墓を用意していたことが9日、分かった。

 島倉さんは、相談相手だった住職がいる東京都内の寺院に墓を用意していた。

 関係者によると、完成したのは6月ごろ。3・8メートル四方の広さで、インドで採れた黒御影石を使った。彫刻家の流政之氏が手掛け、ピアノをかたどった流線形のデザインになっている。

 墓石の正面には大きく「こころ」と書かれ、その横に戒名が彫られた。戒名は「寳しょう院千代歌愛大姉(ほうしょういんせんだいかわいだいし)」。シングルだけでも300作、のべ1600曲以上を録音、愛唱した島倉さんらしい「歌」「愛」の文字が入った。

 背面には「島倉千代子」の俗名とともに、「島倉忍」の名が並ぶ。

 島倉さんは、プロ野球阪神の藤本勝巳との間に、1963年の結婚前に3人の子供を宿した。だが、悩み抜いた末に出産しなかった。その3人に共通して名付けたのが「しのぶ」。生前、「しのぶは心の支え」と語るなど、心の中にはいつも3人がいた。関係者は「島倉さんは産まなかったことを悔やんでいた。せめて墓の中で一緒に眠りたいという思いが強かったと思う」と話す。

 もともと、この墓は来年で歌手生活60周年を迎えるのを前に、ファンとの触れ合いの場として建設。6月には自身のブログで「モニュメント」として紹介。「ファンの皆さまを勇気づけられる何かを形にしたいと思ったんです。淋(さび)しい時、悲しい時、嬉(うれ)しい時も、モニュメントに会いに来て下さいネ!きっと元気になりますヨ!」とつづっていた。

 他人の借金を背負って苦労しただけに、生前から周囲には「香典は受け取らないで」と伝えていた。墓を建てておいたのも、「死後に誰にも迷惑を掛けたくない」という島倉さんらしい気配りからのようだ。

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