まゆゆ頭蹴り騒動 お尻露出に不快の視聴者へフジ反省の一幕も…

[ 2013年10月22日 21:40 ]

加藤浩次と渡辺麻友

 「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の青少年委員会は22日、審議の対象としていたフジテレビ「27時間テレビ」の1コーナー「生爆烈お父さん」(今年8月3日放送)について「委員会の考え」を発表し、審議を終えた。

 問題となったのは「爆裂お父さんvs女芸人vsAKB48!!」と題したコーナーで、タレントの加藤浩次(44)がAKB48渡辺麻友(19)HKT48指原莉乃(20)らにプロレス技「ジャイアントスイング」をかけた後「頭を踏んだり蹴ったりする場面」。

 これに対し、視聴者から「バラエティー番組の度を越している」「暴力行為であり不快」「台本通りにやっているのか、アクシデントなのか」などの意見が多数集まり、同委員会において「振り回される側が了解していても見ている人を不快にさせる」「台本通りの演出だったのかどうかが知りたい」などの討論が行われ、審議入りが決まった。

 9月24日に意見交換が行われ、フジ側は(1)番組の制作意図(2)放送時間帯への配慮(3)危険行為に対する認識(4)女性タレントや女性芸人へのきわどい演出(5)フジテレビ「私たちのバラエティ宣言」(2010年)を意識した番組作りがなされているかどうか、について報告した。

 意見交換の中で、フジ側は「『爆烈お父さん』はドキュメンタリーではなく、プロレスコント」「全部の角を細工するなど、お茶の間のセットで怪我を防止できることは100%やっています」などと主張。

 しかし「過去に頭を蹴ることは?クレームは?」と問われると「(クレームは)ありました。数が少なかったこともあり、コーナーの内容を変えるまで至っていません」と返答。また、アンダースコートを着けていたとはいえ、女性タレントのお尻が丸見えになる場面もあり「家族で見ている時、視聴者が不快に感じることは考えなかったか?」には「笑いが勝つと思っていました。ただ、不快だと思った視聴者がたくさんいたことは、反省すべきことだと思っています」と頭を下げた。

 結果、この日「委員会の考え」を公表。論点は(1)出演者の身体に加えられる暴力や危険行為(2)女性アイドルや女性芸人に対する性的な際どい演出(3)地上波の公共性に対する認識、の3つ。

 (1)については「人間の顔を足で踏むことは人間の尊厳に関わる行為で、さらに不快感を増大させたと思われます。視聴者の多くは『人間の尊厳に背くような行為をあえてして、それで笑いを取るという形でしかバラエティー番組を作ることができなくなっているのか』という落胆とさげすみのような感情を抱いたことに、局は想像力を働かせてほしいと願います」

 (2)については「お色気ネタが笑いのジャンルの一つであることは間違いありません。そこには快・不快、上品・下品の微妙な境界線が存在しますが、番組が男性の視点で作られていて、制作者に女性や子ども視聴者の視点が欠けていることが、今回のような視聴者とのミスマッチを生じさせたとも考えられます」

 (3)については「視聴者には赤ちゃんから高齢者、外国人など様々な価値観を持っている人がいるということを前提に、可能な限り多くの人々が納得のいく番組を作るということ、そして番組の内容が何に笑い、何に悲しみ、何に喜び、何に怒るかという国民の教養の形成に与り、多大な貢献をしているという自覚を持つことの大切さだけはもう一度強調しておきます」と指摘。

 「視聴者目線と電波が公共財であることを忘れると、テレビへの信頼は薄れていきます。お笑いも例外ではありません。テレビをもっと魅力的なメディアにしていくために、また多くの視聴者が心地よく笑えるために、バラエティー番組も『人間の尊厳』『公共の善』を意識して作られるべきでしょう」とまとめている。

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2013年10月22日のニュース