倉木麻衣「おなかの中にいるよう」 新感覚ホールで復興支援ライブ

[ 2013年10月10日 08:41 ]

「TSUNAMIバイオリン」の奏でる音色に合わせて歌う倉木麻衣

 歌手の倉木麻衣(30)が9日、宮城県松島町で復興支援イベントに参加し、被災地のために世界的建築家らが製作した移動式の風船型コンサートホール「アーク・ノヴァ」でライブを行った。松尾芭蕉もうたった日本三景の松島を望む高台に、まるで異星人のすみかのような巨大な物体が出現。見たこともない空間に響く美声に、地元の子供たちは興味津々だった。

 倉木が出演したのはスイスの音楽祭「ルツェルン・フェスティバル」実行委員会らによる復興イベント。震災発生翌日から海外の音楽家らによる「被災者の方々を音楽と芸術で勇気づけたい」という思いを2年半かけて具現化した。

 その会場に使われたのが風船型の「アーク・ノヴァ」。ロサンゼルス現代美術館やブルックリン美術館などを手掛けた建築家の磯崎新氏と英国人の彫刻家アニッシュ・カプーア氏を中心に製作され、松島湾を一望できる公園に設置。幅3メートル、長さ10メートル、高さ2メートルのポリエステル製の膜が、気圧で幅30メートル、長さ36メートル、高さ18メートルにまで膨らむことで無柱のホールが完成した。客席のイスには、松島にある瑞巌寺の被災した杉が使用されている。

 先月27日にお披露目されたが、歌手としてステージに立ったのは倉木が初めて。ヘリウムガスで浮いた「雲形照明」と外から透ける柔らかい太陽光に照らされながら、被災地とゆかりのあるピアノやバイオリンの演奏に合わせて4曲を歌唱。NHKの復興支援ソング「花は咲く」では、地元の小中学生ら招待客500人と歌声を響かせた。

 歌い終えた倉木は通常のホールと違う点を「音を丸く包んでくれる。お母さんのおなかの中にいるような安心感があった」と説明。曲線形で紫色をした外観を初めて見た時は「ナスみたいだと思った」と笑った。

 聴いたことのない美しい響きに子供たちもビックリ。松島第一小学校6年生の女子児童は「癒やされた。凄くキレイだった」と目を丸くし、松島中学校1年生の女子生徒は「初めての感覚で感動した。松島は海が有名だけど、新しい名所ができるのはいいこと」と瞳を輝かせた。

 イベントは13日まで。会場は被災地をまわれるようにトラック1台で運べる可動式になっている。次回の開催は未定で、広報担当者は「ご要望があれば貸し出しなども検討する予定です」と話している。

 ≪小学生に授業≫前日8日には松島第二小学校の児童約160人を対象に特別授業を開催。自分の歌の詞に自然に関する言葉が多いことから「校歌の歌詞の中に、自然に関する言葉はあるかな?」と質問。「みどりの松島」「空青く」など次々と元気な回答が飛び出し“麻衣先生”もニッコリ。最後は児童や保護者とハイタッチして交流を深めた。

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