玉置浩二 ソウル公演決行へ「この時期に韓国 やるなら今でしょ!」

[ 2013年6月1日 06:00 ]

安全地帯ソウル公演に出演のため、羽田空港から出発する玉置浩二。左は夫人の青田典子

 ロックバンド「安全地帯」の玉置浩二(54)が31日、韓国・ソウルでコンサートを行うため、羽田空港発の全日空機で現地入りした。

 日韓関係悪化の影響で現地公演を中止する日本人歌手が相次ぐ中での決行。玉置は「この時期に韓国に行く意味は大きい。やるなら今でしょ!愛からしか何も生まれない」と熱弁。玉置を突き動かしたのは、12年前に都内で起きた悲劇の乗客転落事故だった。

 午前9時50分ごろ、夫人の青田典子(45)と羽田空港に現れた玉置。ソウル公演決行の理由を尋ねると「李秀賢(イ・スヒョン)がすべてだった」と明かした。

 2001年1月、東京都新宿区のJR新大久保駅の山手線ホームで起きた乗客転落事故。線路に落ちた日本人男性を助けようと、韓国人留学生の李秀賢さん(当時26)はホームから飛び降りた。だが、電車にはねられ帰らぬ人となった。この自己犠牲の行動は美談として報じられ、玉置もニュースで知った。以来、事故のことがずっと忘れられないという。

 1日のソウル公演に、釜山に住む李さんの両親を招待している。11年に釜山で対面し「いつか公演に来ますから、ぜひ見に来てください」と約束していた。玉置は両親をステージに呼び、観客に李さんの正義の行動を紹介するという。「日本人もみんな事故を忘れているし、韓国人も李秀賢を知らない。“こんなに凄い青年がいたんだ”と伝えなきゃ」。外交問題など、どこ吹く風。使命感にあふれた表情で話した。

 李さんへの思いは、11年につくった鎮魂歌「STEP!」に込めた。
 ♪汗かこう 理由はない――。「困っている人がいたら助けよう」という単純明快なメッセージを歌っている。

 玉置は「友好の懸け橋になれる」とは思っていない。「好きな音楽をやって、愛を持とうよと言いたいだけ」と言う。李さんも大学でバンドを組み、ロックを愛したギター少年だった。「音楽に国境はない。その通りだよ」と飛びきりの笑顔を残し、韓国へ向かった。

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2013年6月1日のニュース