新歌舞伎座サプライズ!勘三郎さん孫・七緒八くん出演

[ 2013年4月3日 06:00 ]

中村勘三郎さんに捧げる舞踊「お祭り」を熱演する(前列左から)中村七之助、中村勘九郎の息子・七緒八くん、中村勘九郎

 新装された歌舞伎座(東京都中央区)は2日、人気俳優が出演して門出を華やかに彩る「こけら落とし公演」が初日を迎え、3年ぶりに開場した。雨の中、約2000人の観客が訪れて祝福。昨年12月に亡くなった中村勘三郎さん(享年57)にささげる舞踊「お祭り」には、勘九郎(31)の長男で、勘三郎さんの初孫にあたる2歳の七緒八(なおや)くんがサプライズで登場した。

 第1部中幕の「十八世中村勘三郎に捧(ささ)ぐ」と題された舞踊「お祭り」。花道から、勘三郎さんの長男勘九郎に手を引かれた男の子と、次男七之助(29)が姿を現すと客席はどよめきに包まれた。

 坂東三津五郎(57)の「十八代目もさぞ喜んでいることだろう」に続き、勘九郎が「花を添えていただきありがとうございます。せがれの七緒八も連れてきました」とセリフを発すると、会場は大歓声。配役が記された「釣書」には、七緒八くんの名前はなく、サプライズ出演の七緒八くんがペコリとお辞儀をすると、「中村屋!」の掛け声とともに大きな拍手がわき起こった。

 七緒八くんは昨年5月の東京・浅草「平成中村座」公演千秋楽で、勘三郎さんに抱かれてカーテンコールに登場したが、自らの足で舞台を踏みしめるのは初めて。鳶頭(とびがしら)姿の勘九郎、芸者姿の七之助らに交じり、手拭いを頭に巻き、小さな金棒を手に持った鳶の若衆を演じた。

 床机に座っている際は足をブラブラさせ、少し落ち着かない様子も見せたが、全員そろっての幕切れでは、扇子を開いて見得(みえ)を披露。2歳ながら、客席からの大歓声に臆することもなく、未来の名優の片りんを見せた。

 「お祭り」は、鳶頭や芸者らが繰り広げる華やかな舞台で、お祭り好きで明るく、多くのファンに愛された勘三郎さんが得意にしていた演目。闘病中は、「新しい歌舞伎座でやりたい」と話しており、その気持ちをくみ取る形で上演が決まった。松竹関係者によると、勘三郎さんが七緒八くんと一緒に演じることも楽しみにしていたことから今回のサプライズ出演が決定。1カ月ほど前から七緒八くんは稽古に励んできたという。

 勘九郎は「父にささぐという形で銘打って狂言の演目に入れていただき、本当にありがたい気持ちでいっぱい。七緒八も初めて出させていただいて、それで(自分も)緊張しました」とコメント。七緒八くんは千秋楽まで連日、出演する予定になっている。

続きを表示

この記事のフォト

2013年4月3日のニュース