“投げ銭制”のエンタメショー「夢奇房」 年1度に全力投球で10年目

[ 2013年2月19日 07:31 ]

「夢奇房」の練習風景。パフォーマンスを厳しい目で見つめる佐野さん(右端)。成功するとメンバー全員が拍手でたたえる。

 マジックや曲芸、演劇などを融合させたショーを展開するチーム「夢奇房(ゆめきぼう)」。普段は社会人や学生のメンバーたちが年に1日だけの公演に全力を注ぎ今年で10年目を迎えた。活動を支えて来たのは「好きなことを続けていきたい」という熱意。節目の公演「道化の歩いた道」(入場無料、投げ銭制)が24日、東京都北区の滝野川会館大ホールで開かれる。

 「夢奇房」は演出の佐野壮文(33)さんと大学時代のマジックサークルの仲間たち4人が03年に旗揚げ、年1度の公演を重ねてきた。口コミで評判が広がるとともにメンバーは増え、現在は学生と社会人を合わせ約50人ほどが在籍する。平均年齢は20代半ばと若く、パフォーマーや衣装などそれぞれに役割がある。休日を全体練習日にあて、公演が近づくと稽古は1日12時間にも及ぶ。

 アマチュアと侮るなかれ、その技術は玄人はだし。マジックの世界大会出場者や、ジャグリングキャリア10年超えの猛者がズラリ。観客を楽しませようとする意識もプロ並だ。

 広告代理店に勤務する佐野さんは「働いていても『面白いことは出来る』というのを見せたかった」と力を込める。社会に出ると「忙しい」を理由に好きなことを諦める人が多いという現状があるからだ。自身もしばらく舞台から離れていたが、客としてステージマジックを見た時に「我慢ができなかった」。

 「趣味を聞かれ、“昔、やってました”というのはつまんないじゃないですか」。そんな思いをメンバー全員が共有している。「夢奇房」の名前も「いつまでも夢と希望を大事にしたいとつけました」という思いからだ。

 「多くの人に生の舞台を体験してほしい」とこれまで一貫して入場料は取っていない。“投げ銭”が評価のバロメーターだ。お金を得ることよりも、「子どもが来て、一生忘れない思い出にしてくれたらそれは価値がある」と佐野さん。「アマチュアだからこそ、年に1度の舞台にぶつける爆発力がある」。本番が迫り、メンバーたちの表情は待ち遠しさとともに日に日に緊張の面持ちになってきている。

 「夢奇房 道化の歩いた道」24日、昼の部13時15分から、夜の部17時15分から。入場無料、投げ銭制。東京都北区の滝野川会館大ホール。

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2013年2月19日のニュース