森さん復帰あきらめず 病室でも「放浪記」台本手に

[ 2012年11月16日 06:00 ]

記者会見を行った柳田敏朗氏

森光子さん死去

 92歳で亡くなった森光子さんは最期まで女優魂を貫いた。14日に訃報を伝えた、おいで所属事務所社長の柳田敏朗氏(63)が15日、都内で会見。「病室で一人芝居のようにセリフを口にする日もあった」と、舞台復帰を目指していたことを明かした。

 森さんは病室に持ち込んだ代表作「放浪記」の台本を手に復帰を目指した。病室で慣れ親しんだセリフを読み、周囲の手を借りて運動をして体力づくりに励んだ。柳田氏は「復帰するならば、放浪記をやりたかったんだと思います。10年に体調不良で降板して、50年目(11年)の放浪記のプランも途切れてしまった。それが心残りだったと思います」と思いを代弁。「素晴らしい仕事を70年以上続けてこられたのは、いろんな方やファンの方に支えられたから。本人も周りも思いは同じです」と感謝した。

 柳田氏は毎日病室に通っていたが、亡くなった10日は間に合わず、みとったのはマネジャーと付き人の2人。当日も談笑するなど体調は安定していたが「疲れて少し休んでるのかなと思ってたら、息を…。穏やかで、すぐにでも起きるんじゃないかという顔でした」。柳田氏が最後に話したのは前日9日。「また来ます」という言葉に、森さんは「じゃあね」と手を握って返してくれたという。

 本人の希望で密葬として営まれた14日の葬儀は家族やスタッフのみ10人強で見送った。棺には、森さんのお気に入りだった萩(はぎ)の花の模様が描かれた淡い紫色の着物、降板した10年の放浪記のポスター、3冊の台本(放浪記、雪まろげ、新春 人生革命)が納められた。

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2012年11月16日のニュース